南アジアと中国で心臓病罹患率が異なる理由は調理法の違いにあり?

(2016年11月) "Nutrition" 誌に掲載されたエジンバラ大学(英国)などの研究(レビュー)によると、調理方法の違いが心臓病のリスクに影響している可能性があります。 食品を高温で調理すると有害な化学物質が生じ、それによって心臓病になる危険性が高まるのではないかというのです。

レビューの背景
研究チームは、南アジア諸国(*)に住む人たちや、これらの国から他国へ移住した人たちに心臓病が多いことに疑問を抱きました。 こういった人たちでは、これまでに知られている心臓病のリスク要因では説明がつかないほどに心臓病が多発しています。
(*) インド、パキスタン、バングラデシュ、およびスリランカ。
例えば、パキスタンで生まれた(英国在住の)男性はイングランドやウェールズで生まれた男性に比べて心臓発作で死ぬ率が62%高いという結果になった研究が存在します。
他国に移住しても、調理法は母国で生活していたときと変わらないのでしょう。

そこで研究チームは、南アジア諸国で行われている調理方法のために心臓病のリスクが増加しているのではないかと考えました。

レビューの方法
今回のレビューでは、これまでに発表された研究の中から以下について調べたものを選出して、それらのデータを調査しました:
  • 食品の調理中に発生するNFC(*)の作用
  • NFCが人体に及ぼす影響
  • NFCと冠動脈疾患(心臓病)の関係
  • 加熱調理とNFCの関係
  • 南アジアと中国の調理法の違い
(*) 新規形成汚染物質。 AGEトランス脂肪酸などのこと。 「NFC」は "neo-formed contaminant" の頭文字。
結果
主な結果は次のようなものです:
  • 150℃を超える温度で調理すると、食品の化学構造に変化が生じてNFCが形成される。 特に油を用いて高温で調理するとNFCの発生量が多い。 油が容易にトランス脂肪酸へと分解されるため。
  • 南アジアでは油で揚げる(*)とかローストするという調理法が一般的で、そういう調理法だとトランス脂肪酸が大量に生じる。 油は、再使用するとトランス脂肪酸が大きく増加する。
    (*) "fry" を訳したもの。 「炒める」かもしれません。
  • それに対して心臓病の罹患率が低い中国では、ブレイズ(軽く炒めたのちに蒸し煮にする)・蒸す・茹でるといった調理法が一般的で、このような調理法だとNFCの発生量が少ない。
  • 南アジアに糖尿病が多いのにも、調理法が関係している可能性がある。