風邪の菌は体外に放出された後も感染力が最大で数ヶ月残る

(2013年12月) "Infection and Immunity" 誌に掲載されたバッファロー大学の研究によると、風邪や耳・喉の感染症の原因となる細菌は、ヌイグルミ・本・ベビーベッドなどに付着してからも数週間から数ヶ月は生き延びると考えられます。

これらの細菌はこれまで、ヒトなどの生物の体外ではすぐに死滅する(*)と考えられていました。
(*) インフルエンザ・ウイルスの場合、手や何かの表面に付着したときの生存時間は5~10分。 (参考記事: 正しい手洗いとクシャミ・咳の仕方でインフルエンザを撃退
実験
方法
人体にバイオフィルムを形成する性質を持つと考えられる "Streptococcus pneumoniae" と "Streptococcus pyogenes" という2種類の細菌およびネズミを用いた実験を行いました。
同じ研究グループの 2012年の研究で、人体に取り付いた細菌がバイオフィルム(歯垢や、水垢、流し台のヌルヌルもバイオフィルム)を形成し耐性を獲得することが示されています。
結果

S. pneumoniae と S. pyogenes がバイオフィルムを形成せずに単独で存在する状態(planktonic cells)では、手の表面と非生物(プラスチックなど)の表面のいずれに付着している場合でも速やかに乾燥して活性を失いました。

これに対して、S. pneumoniae と S. pyogenes がバイオフィルムを形成してしまうと、細菌の生存期間が延びて、生物の体内に入っていなくても長期間にわたって感染力を失いませんでした。

保育園での検査

今回の研究では保育園の検査も行いました。 その結果、掃除をした後であってもヌイグルミ(5つのうち4つ)からは S. pneumoniae が、そしてベビーベッドなどの表面からは S. pyogenes が検出されました。 検査が行われたのは保育園の開園時間前の早朝であり、最後に人が手を触れてから何時間も経っていました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「細菌のコロニー(バイオフィルム)形成は、感染に直接的には関与していませんが、人体に感染するうえで重要な役割(感染力の維持)を果たしています

従来の研究では、感染者の咳やクシャミにより空中に漂った細菌を吸い込んだときにのみ感染すると言われていますが、細菌は咳やクシャミで体外に放出されてからも(バイオフィルムを形成すれば)数週間や数ヶ月間という長期間にわたって感染力を失いません。

人が手を触れるような物の表面にバイオフィルムが形成されると、そこに触れた人は細菌に感染する恐れがあります」