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肌寒い程度でもガンの成長が速くなる

(2013年11月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" 誌に掲載されたロズウェル・パーク癌研究所(米国)の研究によると、少なくともマウスにおいては低温によってガン細胞の成長速度が速くなります。 マウス実験において室温が30℃のときよりも22℃のときのほうがガンの成長が速かったのです。

低温により増殖が速まることが確認されたガンは、乳ガン・皮膚ガン・結腸ガン・すい臓ガンなど様々です。

低温によってガンの成長が速くなるというのは、生まれてからずっと気温が低い環境で過ごしているマウスでも同様でした。 (つまり、体が寒さに慣れているか否かに関わらず、低温によってガンの成長が速まった)

低温でガンの成長が速くなる理由

ガンとの闘いにおいては免疫細胞の一種であるT細胞がメインの役割を果たします。 T細胞は様々なタンパク質を生産することによって腫瘍細胞を認識および破壊するのです。 T細胞の攻撃に対して腫瘍は、偽の信号を出すことによって体にT細胞の働きを抑えさせようとします。

適温環境で過ごすマウスと低温環境で過ごすマウスとの間で、ガンを発症する前のT細胞の数に違いはありませんでしたが、T細胞が腫瘍を探し出して攻撃する速度と能力においては、適温環境で過ごすマウスのほうが優れていました。 また、T細胞が分泌する抗ガン作用の量も、適温環境で過ごすマウスのほうが多かったのです。

さらに、低温環境で過ごすマウスでは、通常の免疫応答をシャットダウンし免疫を抑制する作用のある細胞の数が増加していました。 したがって、低温環境においては、体は腫瘍と闘うという方針から、腫瘍を受け入れるという方針に移行してしまうということになります。

温熱療法がガンに効く?

ヒトは寒くなると暖房したり、着る服を増やしたりしますが、マウスの場合は暖かい場所に移動します。 通常のマウスは、22℃、28℃、30℃、34℃、38℃という室温の選択肢がある場合には、適温である30℃の場所に落ち着きますが、腫瘍を抱えたマウスは最も高温である38℃の場所を好みます。 ヒトの場合にもガン患者は一般的に、特に治療後に寒気を訴えます(つまり高温を望む)。

今回の結果からするとサウナがガンに有効となりそうですが、サウナのガンへの効果を調べた臨床試験は小規模なものが既に複数行われています(対象となったガンの種類は、乳ガン・血管肉腫・肉腫)。 これらの試験では、微熱程度(37℃くらい?)の水準にまで体温を上げた状態を数時間維持することで放射線治療への反応が良くなったという結果が出ています。

ガン以外における今回の発見の意味
マウスなどの実験動物は通例、通常よりも低温の環境で飼育されています。 そのため、免疫機能が関与するような実験(例えば、免疫力を強化する治療法の実験)を行う場合には、低温環境による免疫力の低下を考慮しないと、実験結果が歪んでしまう恐れがあると考えられます。