一部の結腸ガンにビタミンAが有効?

(2015年12月) "Cancer Cell" 誌に掲載された Ecole Polytechnique Federale de Lausanne(フランス)の研究によると、一部のタイプの結腸ガンに対してビタミンAが有効かもしれません。

しつこい結腸ガン

結腸ガンは化学療法による治療後にも、当初にガンを引き起こした遺伝子変異が結腸の幹細胞(成熟した細胞へと成長する前の細胞)に残存するために再発するケースが少なくありません。 治療後にも生き残っている幹細胞に含有されているガン性の変異がガン再発の原因となるのです。

そして、既存の治療法の大部分はこのようなしつこいガン細胞に効果がありません。

このしつこいガン細胞ではHOXA5というタンパク質が失われているのですが、今回の研究ではビタミンAによりHOXA5を再活性化して頑固なガン細胞を除去および転移を予防することに成功しました。

研究の内容

研究チームは今回、HOXA5と呼ばれるタンパク質に注目しました。 HOXA5は胎児の発達の調整に関与するタンパク質群の一種です。 このタンパク質群は胎児の体の発達において重要な役割を果たしますが、成人の体においては幹細胞を調節して体の様々な組織を区別し各組織の機能を維持するという役目を負います。

HOXA5が作られないのが再発の原因

研究チームはまず、HOXA5が幹細胞および幹細胞を作る細胞の抑制において主要な役割を果たすこと、そして、結腸に存在するガン幹細胞がHOXA5を作る遺伝子を遮断するために(HOXA5が作られなくなって)結腸のガン幹細胞が好き放題に増殖して広がり、結腸ガンの再発や転移を引き起こすことを明らかにしました。

HOXA5を復活させる方法

次にマウス実験において、ビタミンA(レチノイド)によりHOXA5を再活性化してガン幹細胞を除去し転移を防ぐことに成功しました。 結腸ガン患者から採取した組織サンプルを用いた実験でも同様の結果となりました。

解説
今回の結果から、HOXA5遺伝子の発現パターンしだいでは結腸ガンの治療にビタミンAが有効であると思われます。 結腸ガンの予防にもビタミンAが有効かもしれません。