大腸ガン患者は運動習慣があると生存率が高い

(2016年7月) 大腸ガンの予防に運動が有効であることが知られていますが、"Oncotarget" 誌に掲載された浙江大学(中国)の研究(システマティック・レビュー)によると、大腸ガンと診断されたのちの生存率向上にも運動が有効だと思われます。出典: Pre- and post-diagnosis physical activity is associated with survival benefits of colorectal cancer patients: a systematic review and meta-analysis

レビューの方法
大腸ガンに対する運動の効果について調べた11のコホート研究(*)のデータを分析しました。 データに含まれていた人数は1万7千人ほどで、追跡期間は3.8~11.9年でした。
(*) 欧州・米国・オーストラリアで行われた研究です。

11の研究のうち、大腸ガンと診断される前の運動量を調べたものは8つで、診断後の運動量を調べたものは7つでした。

結果
診断前の運動習慣

大腸ガンと診断される前に運動していたグループは診断前に運動していなかったグループに比べて、大腸ガンにより死亡するリスクが19%低いという結果でした。 総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)は21%の低下でした。

診断前に運動をしていた人たち同士のあいだで運動量(激しさ×時間)が多い場合と少ない場合とを比較したところ、運動量が多い場合には少ない場合に比べて、大腸ガンにより死亡するリスクが21%、総死亡リスクが25%低くなっていました。

診断後の運動習慣

大腸ガンと診断された後に運動していたグループは診断後に運動していなかったグループに比べて、大腸ガンにより死亡するリスクが23%低くなっていました。 総死亡リスクは29%の低下でした。

診断後に運動をしていた人たち同士のあいだで運動量(激しさ×時間)が多い場合と少ない場合とを比較したところ、運動量が多い場合には少ない場合に比べて、大腸ガンにより死亡するリスクが44%、総死亡リスクが42%低くなっていました。

解説
研究チームによると、運動により大腸ガン患者の生存率が向上する理由として以下が考えられます:
  • インスリン値が高かったりIGF(インスリン様成長因子)値が高かったりすると悪性腫瘍の成長・血管新生・転移が活発になることを示す十分なデータ(動物実験と生体外実験)が存在しますが、複数の介入研究で、運動によりインスリン値とインスリン感受性が改善されて高インスリン血症が緩和されることが示されています。

    したがって、運動によりインスリン値やIGF値が改善されるために大腸ガン患者の生存率が向上するという可能性が考えられます。
  • 運動によって、全身性の炎症が軽減されたり免疫機能が向上している可能性も考えられます。 運動習慣によって自然免疫細胞の一種であるNK(ナチュラル・キラー)細胞が活性化し5種類の腫瘍のサイズが縮小して腫瘍の再発率も下がるという結果になった研究(マウス実験)があります。
結論
研究チームは次のように結論付けています:
「現段階ではデータに不十分な部分があるものの、大腸ガンのサバイバーに中程度の量の運動習慣を生活に取り入れることを推奨しても良いかもしれない」