(2017年11月) "JAMA Oncology" に掲載されたハーバード大学などの研究で、食物繊維の摂取量が多い大腸ガン(非転移性)の患者は死亡リスクが低いという結果になっています。
研究の方法
大腸ガンと診断されてから半年~4年間が経過した患者 1,575人(大腸ガンのステージは1~3。61%が女性。全員が医師や看護師)を対象に食生活に関するアンケート調査を行って食物繊維摂取量などを調べたのち、8年間(中央値)にわたり生存状況を追跡調査しました。
結果
追跡期間中に773人が死亡しました。 このうち大腸ガンで死亡したのは174人でした。
食物繊維の摂取量が多いほど死亡リスクが低いという結果でした。 食物繊維の摂取量が5g/日増えるごとに、大腸ガンで死亡するリスクが22%、総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)が14%低下していました。
大腸ガンと診断された後に食物繊維の摂取量を増やした場合にも死亡リスクが低下していました。 食物繊維の摂取量を5g増やすごとに、大腸ガンで死亡するリスクが18%、総死亡リスクが14%低下していました。
食物繊維の種類別
- 穀類由来の食物繊維の摂取量が5g増えるごとに、大腸ガンで死亡するリスクが33%および総死亡リスクが22%下がっていました。
- 全粒穀物の摂取量が20g/日増えるごとに、大腸ガンで死亡するリスクが28%下がっていました。 全粒穀物の特長の1つは食物繊維が豊富なことですが、食物繊維の摂取量を考慮して分析しても大腸ガンで死亡するリスクが23%下がっていました(全粒穀物に含まれる食物繊維以外の成分も大腸ガンの死亡リスク低下に寄与している可能性がある)。
- 野菜由来の食物繊維の摂取量が5g増えるごとに総死亡リスクが17%下がっていましたが、総死亡リスクは下がっていませんでした。
- 果物由来の食物繊維は、摂取量が多くても死亡リスクが下がっていませんでした。