危険な尿色と、そうでもない尿色

尿の色は数百年前から健康状態の判断に用いられてきました。 細菌や、過剰なタンパク質・糖など体内を循環する物質の多くが最終的には尿となって出てくるためです。

尿の色や臭いの変化は、前日に食べた夕食など他愛の無いものが原因である場合もありますが、感染症やガンなどの深刻な病気の兆候であることもあります。

異常な尿とその原因

米国泌尿器科学会は、赤系色(ピンク色~茶色)の尿が見られる場合にはとりあえず医師の診察を受けることを推奨しています。 検査をすれば尿の変色の原因が血であるかどうかが判明します。

薄いピンク色または赤い血が混じる尿

病気が原因の場合は、尿路感染症・前立腺肥大・腎臓や膀胱の結石・腎嚢胞・良性または悪性の腫瘍(ガン)の初期症状などの可能性が考えられます。 赤い色の血尿は高血圧緊急症の1つでもあります。

病気以外では、筋肉の分解を引き起こすような激しい運動(長距離走など)が血尿の原因となることがある他、ビート(サラダに用いられる赤色の大根の一種)やブラックベリー、ルバーブなどの食品を大量に食べた後にも、食品に含まれる色素が原因で赤色やピンク色の尿が出ることがあります。

薬物では、フェナゾピリジンという尿路(尿路→膀胱→尿道)の痛み止め薬や、便秘薬として用いられる薬草のセンナ、結核の治療に用いられるリファンピンという薬が、おしっこが赤色になる原因となります。

また、鉛や水銀の慢性的な中毒でも尿が赤色になることがあります。

オレンジ色の尿

上述のフェナゾピリジンのほか、抗炎症薬のスルファサラジンや一部の抗がん剤もオレンジ色の尿の原因となります。 緩下剤(下剤)の服用によって尿の色がオレンジ色になることもあります。

病気が原因の場合は、肝臓や胆管に問題があるときに胆汁によって尿の色がオレンジ色になることがあります。 その場合には大便も明るい色になります。

病気や薬物以外では、脱水症状によって尿が濃くなったとき・ビタミンBのサプリメントを服用したとき・カロテンなどの着色料の使われた食品を食べたとき・上述の赤色の尿の原因となる食品を食べたときにも尿がオレンジ色になることがあります。

茶色~コーラ色の尿

茶色の尿は、重度の脱水状態である場合あるいはソラマメや、ルバーブ、アロエを大量に食べた場合に見られることがあります。

病気では、ポルフィリン症(遺伝または肝臓障害が原因となる血液疾患)といった肝臓疾患のほか、腎臓疾患や尿路感染症が茶色の尿の原因となります。

コーラ色の尿が出る場合、腫瘍・腎結石・腎臓の血栓(かま状赤血球症の患者に多い)に由来する古い(出血してから時間が経った)血が混じっている可能性があります。

コーラ色の尿は、挫傷(打撲などの鈍力による外傷。 自動車事故とか、がれきの下敷きになるとか)が原因であるケースもあります。 挫傷により筋肉が分解され、粉砕された組織が血流に入り込んだものを、腎臓が濾し取って尿中に排出するときに、尿がコーラ色になります。

尿がコーラ色になる薬物には、マラリアの薬、メトロニダゾールやニトロフラントインという抗生物質、カスカラやセンナなど下剤として用いられる生薬、あるいはメトカルバモールという筋弛緩薬などがあります。

青色あるいは緑色の尿

薬物では、メチレンブルー(膀胱の不快感の治療薬)や、アミトリプチリン(うつ病の薬)、インドメタシン(抗炎症薬)、プロポフォール(静脈麻酔薬)などが青色や緑色の尿の原因となります

小さい子供が青色のオシッコをしたときには、家族性高カルシウム血症という稀有な遺伝性疾患である可能性があります。 家族性高カルシウム血症は、その尿の色から「青色おしめ症候群」とも呼ばれています。

また、緑膿菌などのシュードモナス属の菌による尿路感染症にかかると、尿の色が緑色になることがあります。

病気や薬物以外では、食品に用いられる着色料が緑色の尿の原因に、そして腎臓や膀胱の機能の検査に用いられる染料が青色の尿の原因になります。 これらが原因と思われる場合にも、緑色の尿が続く場合には医師の診察を受けましょう。

紫色の尿

ポルフィリン症(前述)で尿の色が深い紫色になることがあります。 紫色採尿バッグ症候群(PUBS)という現象がありますが、PUBS では長期間使用している採尿バッグが細菌の繁殖によって紫色に変わるという現象であって、尿の色自体は普通です。

白濁する尿

尿路感染症・尿道炎・腎結石などが原因だと考えられます。

泡立つ尿

オシッコが落ちる勢いによって泡立つことがありますが、泡が消え難い場合には食事から摂るタンパク質の量が過剰であるか、あるいは腎臓に問題があることがあります。 泡立ちがひどい場合には医師の診察を受けましょう。 (前立腺炎だとオシッコが泡立つという話もあります)

正常な尿の色

正常な尿の色は尿色素という色素に由来する薄い黄色~琥珀色です。 体内の水分が十分であると薄黄色で、体内の水分が不足するにしたがって琥珀色に近づいてゆきます。

尿の色は軍隊で脱水状態のチェックに用いられているほどです。 子供(特に男の子)も脱水状態であることが多いので、水分が不足していないかどうかを尿の色でチェックすると良いでしょう。

ただし、高齢者や水泳で脱水した子供では、尿の色からは脱水状態を正確に知ることができないのでおしっこの回数から判断すると良いかもしれません。

尿の臭い

健康な尿は強い臭いがしません。 尿に特徴的な臭いがある場合には、何らかの感染症にかかっているか、尿路結石が出来ている可能性があります。 強いアンモニア臭は尿路結石の兆候です。

尿から甘い臭いがする場合には糖尿病かもしれません。 糖尿病では、血中の過剰な糖が尿となって排出されるために、甘い臭いの尿になります。 糖尿病患者では尿中に実際に糖が含まれているわけですから、臭いが甘いだけでなく実際に甘い味がします(昔の医師は糖尿病の診断をするために患者の尿を舐めることもありました)。

病気以外では、アスパラガスを多量に食べたときに、尿から特有の臭いがすることがあります。 この臭いは、アスパラガス(やニンニク、スカンクの屁)に含まれるメチル・メルカプタンという硫黄化合物が分解されるために生じます。 ただし、この臭いがするのは、メチル・メルカプタンを分解する酵素が作られる体質の人だけです。