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自動車に渋滞税をかけると喘息で診療を受ける子供が半減する

(2017年3月) 米国経済学会で発表されたジョンズ・ホプキンス大学などがの研究によると、自動車に「渋滞税」をかけることで自動車の交通量が減って大気汚染度が5~10%低下するだけでなく、子供が喘息の発作を起こす率も50%近く低下します。

研究の方法

この研究では、スウェーデンのストックホルムで導入された渋滞税が喘息の子供に及ぼす影響を調べました。

渋滞税

渋滞税とは、交通量が多い時間帯に通行する自動車に最大で2.6米ドルを課税するという制度です。 夜間・週末・休日には課税されません。 渋滞税の課税は、渋滞税課税地域に進入する自動車のライセンス・プレートをスキャンすることで自動的に行われます。

渋滞税はまず、2006年1月から7月にかけて試験的に導入され、交通量を20~25%減らす効果のあることが確認されたため、2007年8月から正式に導入されました。

大気汚染と喘息のデータ

子供の喘息と大気汚染に関するデータは、2004~2010年にかけて収集されたものを用いました。 調査対象として選ばれたのは喘息を抱えている6才までの子供でした。 6才までに限定したのは、子供の保護者が喘息への対応に慣れていないために急性の喘息発作が起こりやすいためです。

結果
渋滞税が試験的に導入された後

渋滞税が試験的に導入された7ヶ月間には、喘息の子供たちが医師の診療を受ける回数が12%減りました(1万人あたり18.7人から1万人あたり16.4人へと減少)。

渋滞税の試験が行われてから渋滞税が正式に導入されるまでの1年間ほどのうちに、大気汚染レベルが少し元の水準に戻ったものの完全には戻りませんでした。 そして、喘息の子供が診療を受ける率は減り続け、渋滞税が試験的に導入される前に比べて-26%となりました(1万人あたり13.9人)。

渋滞税が正式に導入された後

渋滞税が正式に導入されてから数年後、喘息で診療を受ける子供の割合は、渋滞税が試験的に導入される前に比べて-47%にまで低下しました(1万人あたり10人)。

解説

渋滞税の試験的導入が終了してから正式に導入されるまでの間にも、子供が喘息で診療を受ける率は減っていましたが、研究者によると、渋滞税が正式に導入されていなければ喘息で診療を受ける子供が再び増えていたと考えられます。

ストックホルムは米国の環境基準から言えば大気汚染が比較的軽度です。 したがって、大気汚染がひどくない地域においても、渋滞税が呼吸器の健康増進に寄与すると言えます。

クルマの排気ガスは喘息以外にも悪影響

自動車に由来する大気汚染は、喘息以外にも動脈硬化・高血圧・肺ガン・慢性閉塞性肺疾患(COPD)などを引き起こしたり悪化させたりします。

複数の研究で、妊娠中にさらされる排気ガス由来の大気汚染がひどいほど生まれる子供が小児ガンや肺炎や気管支炎になりやすいことや、大気汚染が腎臓にも悪影響を及ぼすことが示されています。 2014年に発表されたミシガン大学の研究によると、最も軽度なレベルの大気汚染でも腎臓病のリスクが増加します。