銅で耐性菌を殺菌

(2012年12月) "mBio" 誌に掲載されたサザンプトン大学の研究により、銅によって耐性菌の(耐性変異の)遺伝子の水平伝播(HGT)を防止できることが示されました。 耐性菌による感染症の増加は HGT が大きな要因です。
水平伝播
水平伝播は自然環境下以外にも、ドアの取っ手や、カート、テーブルなど手で触れられることが多いステンレス製品の表面で生じます。
今回の研究

今回の研究では、これのステンレス製品を銅製のものに変更することで、手が表面に接触するのと同時にバクテリアが殺菌され、HGT が生じないことが明らかになりました。

ステンレスの表面では、大腸菌(Escherichia coli)も肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)も数週間ものあいだ生きていますが、銅や銅合金の表面では、どちらの耐性菌についても速やかに菌が死滅し、プラスミド(核外遺伝子)とゲノムDNAが破壊されました。

菌が死滅することで感染を防げますし、プラスミドとゲノムDNAが破壊されることでHGTを防げます。

利用法

従来のステンレス製品のうち感染経路となり易いものの表面を銅(または銅合金)に代えることで、耐性菌汚染の連鎖を断ち切るだけでなく、耐性菌が新たに発生するリスクも減少させることが可能です。 ただし、研究者によると定期的に清掃する必要があります。 (銅の表面が汚れていると殺菌効果が無くなるのでしょうか)

今回の研究結果は、病院内だけでなく公共の建物や交通機関にでも多剤耐性菌の流行防止に効果が期待できます。 不特定多数の人が手を触れる階段の手すりやドア・ノブでは、種々の耐性菌の遺伝子が交換される可能性がありますが、これらの手すりやドア・ノブの表面を銅製にするだけで、病原菌が広がるのを著しく低減することができるのです。 英国などでは、既にこのような目的で銅が使われ始めています。

2012年7月に "Journal of Clinical Microbiology" に掲載された研究では、抗菌性の銅合金により院内感染の原因菌(耐性菌を含む)の83%が2時間以内に死滅し、抗菌性の銅合金を用いた病室では院内感染のリスクが58%減少するという結果になっています。

実験では、抗菌性の銅合金(定期的に掃除した場合)に次の病原菌を2時間以内に99%の割合で死滅させる効果のあることが確認されました: MRSA、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、黄色ブドウ球菌、アイロゲネス腸内菌、 緑膿菌、腸管出血性大腸菌O157:H7。