銅の枯渇療法がトリネガ乳ガンに有効

(2013年2月) "Annals of Oncology" に掲載された米国の研究で、悪性とされるトリプル・ネガティブ乳ガン(以下 "トリネガ乳ガン")の転移防止に銅の枯渇療法が極めて有効であるという結果になっています。

銅枯渇療法によって、ガンの転移先となる臓器が腫瘍細胞を受け付けなくなり、患者の生存期間が延びると同時に再発のリスクが減少するというのです。

研究の方法

この研究では、60人の患者(うちトリネガ乳ガンの患者は半数以上)を被験者とする臨床試験を行っています。 ただし今回の報告で対象となったのは、60人のうちの40人のみです。

結果

銅枯渇療法で治療中の10ヶ月のあいだにトリネガ乳ガンが再発したのは、進行ガンの病歴のある患者11人のうち2人だけでした。 さらに、11人の患者のうち4人は3~5年半のあいだガン腫瘍と無縁の状態でした。

銅枯渇療法はトリネガ以外の乳ガン患者においても有効で、再発リスクの高い乳ガン(ステージ4の乳ガンなど)の患者29人のうちの85%が、ガンが進行しないままに生存しました。
銅枯渇療法

銅枯渇療法では、テトラチオモリブデン酸(TM)を服用します。 研究者は、TM が転移の進行にとって重要なB細胞(骨髄性リンパ細胞)に作用して転移性の腫瘍が休眠状態になるのだろうと推測しています。

銅は腫瘍のミクロ環境をコントロールする酵素の主要成分であるほか、ガン細胞の転移先への移動にも一役買っていると考えられます。

ガンの転移においてはB細胞のうち特に、「血管内皮成長因子受容体1+ 造血前駆細胞(VEGFR1+ HPC)」が重要で、この HPC が転移先の臓器において、①転移してくるガン細胞を受け入れ、②育てる特別な場所を用意し、さらに③ガン細胞に栄養を供給する血管内皮前駆細胞(EPC)を誘引します。

また、ガンが再発する直前には、EPC と HPC の量が有意に増加するため、銅枯渇療法でEPC の増殖を抑えるのはガンの再発阻止にも有効であると考えられます。

研究者は次のように解説しています:
「EPC と HPC は、転移しようとする乳ガン腫瘍のために移動経路の目印をつけます。 そして、乳ガン腫瘍が血管を形成するための材料を提供します」
銅を多く含む食品
参考までに、銅を多く含む食品はイカ・タコ・エビ・シャコ・カキ・エスカルゴ・タニシといった魚介類や、ココア、紅茶、牛の肝臓、ゴマなどです。 一度に食べる量からすると、イカ、タコ、牛の肝臓に特に多く銅が含まれていることになります。