臨床試験でコエンザイムQ10 が心不全に有効という結果に

コエンザイムQ10(CoQ10)が心不全に対して有効である可能性は20年以上も前から示唆されてきましたが、コペンハーゲン大学病院が行った無作為二重盲検臨床試験によって、CoQ10 を定期的に服用することで、進行した心不全の患者の死亡率を半分にできることが確認されました。

さらに、CoQ10 の服用によって入院件数も有意に減少していました。 プラシーボを服用したグループでは、主要な心血管イベントによる入院者の割合が25%であったのに対して、CoQ10 を服用したグループでは14%だったのです。

心不全というのは、心臓が弱って十分な酸素と栄養を全身に送り出せなくなる病気です。 症状は、疲労感や息切れなどです。

CoQ10 はヒトの体内でも合成される物質で、細胞内のミトコンドリアにおいて電子を運ぶという働きがあります。 この働きによって、食べたものをエネルギーに変えることが出来るのです。 CoQ10 には強力な抗酸化作用があるうえに副作用も無いと考えられており、市販サプリメントとして人気があります。 心不全の患者の心筋では CoQ10 の量が減少し、心不全の重症度に比例して CoQ10 の欠乏もひどくなります。

研究者は次のように述べています:

「CoQ10 は、ACE阻害薬やβ遮断薬が登場してからの10数年で初めて、慢性心不全における生存率を改善することが確認された薬です。 心不全の標準的な治療法に加えられるべきです」


この研究は、2013年5月25日にポルトガルのリスボンで開かれる Heart Failure Association of the European Society of Cardiology で発表される予定です。

無作為二重盲検臨床試験は臨床試験としては正統的な手法ですが、今回の研究はピアレビュー(他の研究者によるチェック)を経て学会誌に掲載されるまでは、予備的とみなされます。

研究の詳細
今回の研究では、中・重度の心不全の患者420人を2年間にわたって追跡調査しました。 患者たちの約半数に 100mgの CoQ10 を一日に三回(つまり、300mg/日)を服用してもらい、もう半数にはプラシーボを服用してもらいました。

2年の期間中の死亡者数は、CoQ10のグループで18人だったのに対して、プラシーボのグループでは36人でした。 さらに、入院が必要となる主要な有害心血管イベントの発生件数も、CoQ10のグループで29人だったのに対して、プラシーボのグループでは55人でした。

他の研究者のコメント
米国心臓協会のスポークスマンを務めるカリフォルニア大学の研究者は、今回の試験に類似する過去に行われた複数の小規模な試験において CoQ10 の明確な効果が示されなかったことから、今回の結果に対して慎重な意見を述べています:

「大変有望な結果ですが、臨床試験を再度繰り返して、今回の結果を再現できることを確認する必要があります。

過去に行われた研究の中には、CoQ10 が心不全に対して有効であるという結果になったものも、そうでないものもあります。 CoQ10 が有効であるという結果になった研究にしても、今回のものほど華々しい結果ではありませんでした」


米国の Mayo Clinic の医師は次のように述べています:

「今回の研究は、CoQ10 の心不全に対する効果を厳密に調べたものとしては最大のものであるようですが、アウトカム試験としてはかなり小規模なものだと言わざるを得ません。 したがって、今回の結果を鵜呑みにするわけにはいきませんが、(CoQ10 により)心不全関連のイベントが減少するとは言えるようですね」


ハーバード医科大学の準教授などを努める研究者は次のように述べています:

CoQ10は、副作用は無さそうですが、効果があるにしても顕著なものではないうえに、わりと高価なので、けっこうお金がかかります。 心臓病専門医の大部分は、CoQ10 を推奨してきませんでしたし、今回の規模程度の臨床試験で、その傾向が変わるとも思えません。

しかし、今回の結果は有望なので、死亡率をエンドポイントとするのに足る程度に大規模な最終的臨床試験を行う価値はあります。