他人を利己的だと考える人では認知症のリスクが3倍に増加

(2014年5月) シニシズム(他人が基本的に利己的であると考え他人を信じない態度)はこれまでに心臓疾患などのリスク要因となることが示されていますが、"Neurology" 誌オンライン版に掲載された研究によると、認知症のリスク要因ともなる可能性があります。

研究の方法

まず、平均年齢71才の高齢者 1,449人を対象にシニシズムの度合いを測定するためのアンケートを実施しました。

アンケートの項目(「はい」か「いいえ」で回答)は次のようなものでした:
  • 「大部分の人は他人を追い抜くためにウソをつくと思う」
  • 「誰も信じないのが安全だと思う」
  • 「大部分の人は自分の利益を確保するためなら幾らかの自己正当化をすると思う」

そして、アンケートの結果に基づいて高齢者たちを3つのグループ(シニシズム低・シニシズム中・シニシズム高)に分類しました。

認知症リスクとシニシズム

認知症のリスクにシニシズムが与える影響に関する調査には、1,449人のうち622人が参加しました。 こちらの調査では、認知症の診断テストを2回行いました。 2回目のテストは平均で1回目の8年後に行われました。

シニシズムの程度と認知症の発症率を照らし合わせたところ、認知症のリスク要因(高血圧・コレステロール値・喫煙など)を考慮したうえでなお、シニシズム高のグループでは認知症のリスクがシニシズム低のグループの3倍になっていました(認知症になった人の割合が、シニシズム高で14/164人だったのに対してシニシズム低では9/212人。 シニシズム中では13/246人)。

早死にリスクとシニシズム

早死にのリスクにシニシズムが与える影響に関する調査には、1,449人のうち 1,146人が参加しました。

10年間の追跡期間中に亡くなったのは361人。 一見、高シニシズムのグループで早死にリスクが高いように思われましたが、社会経済学的な要因(学歴や年収など)、生活習慣(喫煙など)、健康状態などの要因を加味すると、シニシズムの度合いと早死にリスクとの関係の有意性は消滅してしまいました。(つまり、シニカルであっても早死にのリスクは増加しない)