D-アスパラギン酸はウェイト・トレーニングに効果なし?

(2015年4月) "Journal of the International Society of Sports Nutrition" に掲載されたウェスタン・シドニー大学(オーストラリア)の研究で、ウェイト・トレーニングをしている男性がアミノ酸の一種であるD-アスパラギン酸のサプリメントを大量に服用してもテストステロンは増えないという結果になりました。
Geoffrey W Melville, Jason C Siegler, Paul WM Marshall. Three and six grams supplementation of d-aspartic acid in resistance trained men (Licensed under CC BY 4.0)
テストステロンとD-アスパラギン酸

テストステロンは性ホルモンの一種で、タンパク質の合成と筋成長を促進することによって、ウェイト・トレーニングによる筋力および筋肉量の増大に寄与すると考えられています。 テストステロン値が高いほどウェイト・トレーニングによる筋力増加が多いという結果になった研究もあります。

D-アスパラギン酸は、「視床下部-下垂体-副腎系」と呼ばれる経路を介してテストステロンの放出量を増加させると考えられていて、実際に動物実験ではテストステロンを増やす効果が認められています。

ただしヒトを対象とした試験では、運動習慣が無くテストステロン値が平均以下の男性ではD-アスパラギン酸の服用によってテストステロンが増加する(3.12g/日を12日間にわたり服用して42%の増加)けれど、ウェイト・トレーニングをしている男性では増加しない(3g/日を29日間にわたり服用)という結果になっていました。 (これまでにヒトを対象に行われたこの種の研究はこの2つだけ)

この2つの研究を根拠として、サプリメント業界ではD-アスパラギン酸の推奨服用量は3g×1~2回/日とされていますが、研究チームは今回、ウェイト・トレーニングをしている男性では高用量(6g)のD-アスパラギン酸を服用する必要があるのではないかと考えました。

研究の方法

今回の研究では、ウェイト・トレーニングの経験が2年以上(毎週3回以上)ある男性24人を被験者としました。 男性たちの年齢は18~36才(平均24.5才)、平均身長は178.5cm、平均体重は84.7kg、ベンチプレスの1-RM(一回でいいから持ち上げられる最大の重量)は105.3kgでした。

男性たちは、次の3つのグループ(8人ずつ)に分けられました:

  1. D-アスパラギン酸を6gのサプリメントを服用するグループ
  2. D-アスパラギン酸3gと小麦粉3gのサプリメントを服用するグループ
  3. 小麦粉6gのサプリメント(プラシーボとして)を服用するグループ

そして2週間の休薬期間(サプリを飲まずにトレーニングを週に4日行う)の後、2週間にわたって毎日の朝食時にサプリメントを飲みつつ、上半身と下半身のスプリット・トレーニングを週に4日行ってもらいました。

血液検査(12時間の絶食後)を休薬期間開始前およびサプリメント服用期間前後の計3回行って、総テストステロン、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、アルブミン、およびエストラジオール(エストロゲンの1形態)の血中濃度を測定し、遊離テストステロンの量を割り出しました。
総テストステロン=遊離テストステロン+アルブミン結合テストステロン+SHBG結合テストステロン
結果

D-アスパラギン酸の服用によるSHBG、アルブミン、およびエストラジオールの血中濃度への影響はありませんでした。 その一方で、総テストステロン濃度は1のグループにおいて低下していました(2のグループでも低下していたが統計学的に有意と言えるほどではなかった)。

当初(サプリメント服用期間前)の総テストステロン値とD-アスパラギン酸サプリメントへの反応性との間に有意な関係は見られませんでした。

結論

ウェイト・トレーニングをしている男性がD-アスパラギン酸のサプリメントを毎日6g飲むと、総テストステロンと遊離テストステロンの血中濃度が低下しました。 3gを飲んだ場合には、総テストステロンと遊離テストステロンへの影響は見られませんでした。

ただし、今回の研究は期間が短いため、もっと長期間でどうなるかは不明です(テストステロンが増え始めるかもしれないし、さらに下がるかもしれない)。