低用量アスピリンの常用はメリットがデメリットを上回る

(2014年8月) "Annals of Oncology" に掲載された Queen Mary University of London のレビューで、低用量アスピリンの常用によるメリットとデメリットが確認されています。

レビューの概要
このレビューでは、アスピリンの予防的な用法の効果と副作用を調べた各種の研究および臨床試験の結果をチェックしました。 主な結果は次の通りです:
  • (低用量の)アスピリンを(50~65才の頃に?)10年間にわたって服用し続けた人では、大腸ガンになるリスクが35%、(死因を問わない)死亡のリスクが40%、食道ガンおよび胃ガンになるリスクが30%、食道ガンおよび胃ガンで死ぬリスクが35~50%低下していた。
  • 仮に50~65才の人が全員10年以上にわたってアスピリンの服用を続けた場合、ガン、脳卒中、および心臓発作になるリスクが男性では9%、女性でも約7%減少すると推算される。 総死亡率も20年間で4%下がるという計算になった。
  • アスピリン常用によるこれらの効果を引き出すには、1日あたり75~100mgのアスピリンを50~65才のうちに服用し始め、少なくとも5年ひょっとすると10年間は服用を続ける必要がある。

    アスピリンの常用を開始し始めてから最初の3年間は効果は現れておらず、死亡リスクが下がり始めるのは服用開始から5年目以降だった。
  • その一方で、長期間にわたるアスピリン服用により、消化管(胃など)からの出血という副作用のリスクも増加していた。 アスピリンの服用を50才の頃から10年間続けることによって、消化管から出血するリスクが2.2%から3.6%へと増加していた(2.2%というのはアスピリンの服用習慣が無い人の場合のリスクでしょうか)。
  • 50才から10年間アスピリン服用を続けたグループでは、消化管からの出血が命に関わるケースは5%未満だった。 全体的に見ると、胃腸からの出血が深刻あるいは致命的となる率は、70才未満では非常に低かったが、70才を境に急増していた。
  • アスピリン常用によって、消化性潰瘍(胃や十二指腸にできる潰瘍)のリスクが30~60%増加していた。
  • アスピリンのベネフィット(効果)と副作用を考慮したうえで最適な用量に関して統一的な見解は未だ存在していなかった。 研究や試験によって、1日あたりの用量に75~325mgとバラつきがあった。
  • 10年を超えてアスピリンの常用を続けるのが有益かどうかは不明。
コメント
研究者は次のように述べています:

「アスピリンの常用に一部のガンを予防する効果があることは以前から知られていましたが、その予防効果と常用による副作用のどちらが大きいかを調べた研究は今回のレビューが初めてです。

アスピリンには看過できない深刻な副作用がありますが、アスピリンの常用はガンのリスクを下げるために出来ることとして、禁煙と肥満解消の次に有効であると思われます。

消化管からの出血という副作用には(アスピリン以外にも)複数のリスク要因が存在するので、アスピリン常用を開始する前に、それらのリスク要因のことを知っておく必要があります。 そのためにも、アスピリンの常用は医師に相談した上で開始するようにしてください」
この研究の資金は主として Cancer Research UK という英国の慈善団体が提供しました。