出産方法が新生児の遺伝子に後天的な影響を及ぼす

(2014年7月) 帝王切開で生まれた子供は免疫疾患(喘息・1型糖尿病・セリアック病など)にかかりやすいことが統計的に示されていますが、"American Journal of Obstetrics and Gynecology" に掲載された Karolinska Institutet(スェーデン)の研究により、その理由が解明に近づいたかもしれません。

出産方法の違い(普通分娩 vs. 帝王切開)によって新生児にエピジェネティック(後成的)な違いが生じているようなのです。

ただし、このエピジェネティック変化が一時的なものなのか恒久的なものかどうか、したがって帝王切開で生まれた子供に免疫疾患が多い理由が出産方法によるエピジェネティックな変化によるものであるのか否かは不明です。

エピジェネティックな変化とは

エピジェネティックな変化は、環境的(後天的)な要因の影響により細胞核の DNA において生じます。 エピジェネティックな変化は、 遺伝子のエンコードのされ方に影響しますが、遺伝子そのものには影響しません。

つまり「エピジェネティックな変化」とは、体が周囲の環境に適応しようとして遺伝子のスイッチが後天的に切り替わることなのです。

エピジェネティックな変化を引き起こす要因として現在知られているのは、毒物への接触や食事内容です。 エピジェネティックな変化は子孫にまで引き継がれることもあります。 (参考記事: 妊娠中の喫煙が胎児の子供にまで悪影響

研究の内容

今回の研究では、新生児43人の臍帯血(へその緒の中にある血液。 幹細胞を豊富に含む)から採取した幹細胞のエピジェネティック分析を行ないました。 43人のうち帝王切開で生まれたのは18人でした。 12人(帝王切開6人)については、遺伝子座特異的なエピジェネティックな状態(locus-specific epigenetic states)をゲノムワイドで解析しました。

その結果、普通分娩のグループと帝王切開のグループでは、350近い DNA領域においてエピジェネティックな違いが見られました。 これらの DNA領域の中には、代謝や免疫防御を支配するプロセスに関与する遺伝子も含まれていました。

研究者によると、このようなエピジェネティックな違いは、胎児がストレス(産道を通ること?)を経験するか否かという違いに起因している可能性があります。