糖尿病でなくても血糖値が高いと認知症のリスクが増加する

2013年8月の研究
"New England Journal of Medicine" に掲載されたワシントン大学などの研究により、2型糖尿病ではなくても血糖値が高ければ、認知症のリスクが増加することが明らかになりました。

糖尿病でなくても、血糖値の平均が 115 mg/dl(正常な範囲は 80~100 mg/dl 程度)の人では、血糖値の平均が 100 mg/dl の人と比べて、認知症になるリスクが18%増加していたのです。 糖尿病の患者については、血糖値の平均が 190 mg/dl の人は、160 mg/dl の人と比べて、認知症になるリスクが40%増加していました。

研究者は次のように述べています:

糖尿病ではない人でも、血糖値の増加に比例して、認知症のリスクが増加してゆきます。 血糖値が正常な範囲を超えるとすぐに、認知症のリスクが増加し始めるのです。


この研究は、65歳以上の中高齢者 2,000人を対象に行われたもので、血糖値(空腹時のものと、そうでないもの)と糖化ヘモグロビン(HbA1c)のデータを収集した(1人あたり平均17回の計測)ものを分析しました。 血糖値は1日における変動が激しいのですが、糖化ヘモグロビンは比較的一定しています。

2013年10月の研究
"Neurology" 誌に掲載されたドイツの研究でも、糖尿病や高血糖でなくても血糖値が高い人では記憶力に問題が生じやすい可能性が示されています。

こちらの研究では、平均年齢63才の人たち141人(うち女性は72人)を対象に、血糖値と記憶力の関係を調べました。 141人はいずれも、糖尿病・糖尿病前症・肥満ではなく、大量に飲酒する習慣も、記憶力・思考力の障害も無い人たちでした。

データを分析した結果、血糖値の高い人では記憶力が有意に衰えていることが示されました。 記憶力の検査では、15個の単語を暗記してから30分後に思い出すというテストを行いました。

血液検査の結果と照らし合わせたところ、血糖値の長期的なコントロールのマーカーである HbA1c というヘモグロビンの量(空腹時)が 7 mmol/mol 増えるごとに、記憶できる単語が2つ減っていました。

さらに、研究グループが脳のスキャンを実施したところ、血糖値の高い人では海馬(記憶に関与している脳の器官)が小さくなっていました。

研究者は次のように述べています:

「今回の結果から、血糖値が正常な範囲内にある人(つまり、糖尿病や高血糖ではない健康な人)であっても、血糖値の抑制が加齢による記憶力低下や認知機能の衰えの防止に有効である可能性が考えられます。 記憶力の維持にカロリー制限や運動が有効であるかどうかについては、今後の研究で調べていく必要があります」