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家庭でできる認知症の予防と対策

生活

頭を使う

パズル・言葉遊び・記憶力の訓練などで頭を使うと、それが刺激となって認知症の発症を遅らせたり、症状を軽減できることがあります。 知的活動による認知症予防効果の効果は学歴が低い人ほど高いとする研究があります。

また、高齢になって脳に異常が生じてからでも、教育機関で教育(生涯学習など)を受け続けていると、認知機能の衰えが軽減される可能性があります。 勉強をすることによって脳の神経細胞のネットワークが強化され、それによってアルツハイマー病によって神経細胞が被ったダメージの分が補われるのだと考えられています。 脳を若々しく保つには新しい物事を学習し続けるとよいとする研究があります。

"Revista de Investigacion Clinica" に掲載されたスペインの研究(2014年4月)では、読書習慣があるグループと比較したときの認知機能が損なわれるリスクが、本を全く読まないグループでは3.7倍、時々しか本を読まないグループでは2.5倍であるという結果になっています。

睡眠

上述のスペインの研究では、睡眠時間が8時間を超える、または6時間に満たないグループでは認知機能が損なわれるリスクが、睡眠時間が6~8時間であるグループの2.6倍になるという結果も出ています。

"Journal of the American Geriatrics Society" (2014年5月)に掲載された米国の研究でも、中年期以降の睡眠時間が5時間以下または9時間以上の女性では、睡眠時間が7時間の人に比べて記憶力の低下が2才分早く進むという結果になっています。 この研究では、1晩あたりの睡眠時間が2時間を超えて変化した女性(例えば、それまで7時間寝ていたのが一時期から5時間しか寝ないようになったなど)では、そうでない女性よりも記憶力の衰え方が激しいことも示されました。

これらの研究以外にも、睡眠によってアミロイドβ(アルツハイマー病患者の脳に蓄積する毒性のタンパク質)が減るという研究や、睡眠の質が悪いと脳のサイズが小さくなるペースが速いという研究、睡眠障害がアルツハイマー病の兆候でないかという研究など、睡眠と認知症とが深い関係にあることが様々な研究で示されています。

運動

複数の研究で、運動が認知症の予防に有益であることが示されています。 UCLA Longevity Center の Gary Small 博士によると、運動によって酸素と栄養分が脳細胞十分に送り込まれるようになります。

"PLOS One"(2013年12月)に掲載された英国の研究では、運動をする・タバコを吸わない・適切な体重を維持する・健康的な食事をする・お酒を飲みすぎないという5つの健康習慣がいずれも認知症の予防において有益ですが、この5つの習慣の中で認知症予防の効果が最も強いのは運動習慣であるという結果になっています。

アルツハイマー病などの認知症を予防する目的で運動する場合には、中強度の運動(速いペースでのウォーキングなど)を1週間あたり150分程度行います。

ストレス解消

前出の Small 博士によると、瞑想・ヨガ・音楽鑑賞・数分間のリラックスなどによりストレスを解消するのが心身の健康にとって有益です。 Small 博士は次のように述べています: 「ストレスは脳の健康の敵であり、ストレス管理は非常に重要です」

歌を聴いたり歌ったりするのが認知症患者の認知能力改善に有効だとする研究もあります。

白内障を治療する

白内障を治療することによって認知症の症状まで軽減されるという結果になった研究があります。

その他
他にも、禁煙や適切な体重の維持するなどが認知症の予防に有効だとされています。 認知症のリスク要因である高コレステロール・糖尿病・高血圧・歯周病などに生活習慣の改善や薬の服用などできちんと対処するのも認知症の予防にとって有益です。

食事・栄養

小食

食べ過ぎずに摂取カロリーを控えめにするのが脳の健康にとっても有益であるようです。 朝食を抜くと脳の老化を防げるとか、空腹感にアルツハイマー病予防の効果があるという研究があります。

脂肪と糖分を摂り過ぎない

マウス実験で、糖分や脂肪の摂り過ぎによって腸内細菌叢に変化が生じ、それによって認知柔軟性が損なわれることが示されています。 カロリーばかりが多くてビタミン類・ミネラル類・フラボノイド類などの栄養素が少ない食事をしていると認知機能が衰えやすいという研究もあります。

ビタミン類

まず、ビタミンBとCが認知症に対して効果があるかもしれません。 ビタミンB群は、ホモシステインの血中濃度が増加している認知症患者に対して有効です。 アルツハイマー病患者においてビタミンCとβカロチンの血中濃度が通常よりも低いことを示す研究や、ビタミンKや葉酸を豊富に含む青葉野菜が認知能力の維持に有効であるという結果になった研究もあります。

ビタミンD不足が認知症リスクの増加につながる可能性を指摘する研究もあります。 高齢者はビタミンD不足になりがち(日光に当たっても体内で合成されにくくなる)なので注意が必要です。 ビタミンD不足は高血圧の原因になると言われていますが、この高血圧も認知症のリスク要因です。

ビタミンEにもアルツハイマー病の進行を鈍化させる効果のあることが複数の研究で示されています。 ただし、ビタミンEは大量に服用すると、特に心臓疾患のある人で早死にのリスクが増加します。

ミネラル類

アルミニウムや、鉄、銅のアルツハイマー病への関与を疑う研究や、そうではないという研究がありますが、未だ結論は出ていません。

"Journal of Alzheimer's Disease"(2012年)に掲載されたキール大学(英国)の研究では、珪素を豊富に含むミネラルウォーターを飲むことでアルミニウムの排出が促進されアルツハイマー病が改善されるという結果になっています。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、魚に豊富に含まれています。 オメガ3脂肪酸は心臓病や脳卒中の予防に良いとされていますが、軽度認知障害(MCI)の進行抑制に対しても有効である可能性があります。

オメガ3脂肪酸は果物や野菜と並んで、UCLA Longevity Center の Gary Small 博士がアルツハイマー病予防に効果があるとして推奨する食品の1つですが、オメガ3脂肪酸が軽度~中度のアルツハイマー病には効果が無かったとする研究もあり、今後の研究で効果の有無を確認する必要があります。

コエンザイムQ10

コエンザイムQ10 は、ヒトの体内でも合成されている抗酸化物質ですが、イデベノンというコエンザイムQ10 の類似体(武田薬品が開発した)がアルツハイマー病に対して少し効果がありました。 (ただし、アルツハイマー病の治療薬としてはイマイチでした)

銀杏(イチョウ)

銀杏の葉の抽出物には抗酸化作用と抗炎症作用があるため、これによって脳へのダメージが軽減される可能性があります。 アルツハイマー病や、その他のタイプの認知症の患者において、銀杏によって記憶障害の進行が鈍化したとする研究が複数ありますが、銀杏によっては認知症の進行も鈍化しないし、発症を遅らせることも出来ないという結果になった研究も複数あります。

ポリフェノール

赤ワインに含まれるレスベラトロール、ココアに含まれるフラバノール、緑茶の成分であるEGCGなどのポリフェノール類が認知症に対して有効であるとする研究が複数あります。 これらのポリフェノール類には、ヒトを対象とする試験で記憶力を改善する作用が確認されているほか、アルツハイマー病のプラークの蓄積を防ぐ作用や、神経細胞を死滅から保護する作用が生体外実験で示されています。

その他
上記以外では、カフェインやアロエのサプリメントがアルツハイマー病に有効だとする研究が発表されています。