歌を聴いたり歌ったりするのが認知症患者に有益

(2015年12月) "Journal of Alzheimer's Disease" に掲載されたヘルシンキ大学の研究で、歌を聴いたり歌ったりするのが認知症患者の認知能力および気分にとって有益であるという結果になりました。

過去の類似研究でも、標準的なケアよりも音楽的な活動の方がワーキングメモリ・実行機能・オリエンテーションなどの認知能力の向上と抑鬱の軽減に効果があるという結果になっています。
言葉の説明
ワーキングメモリー

視覚的または言語的な情報を一時的に記憶し、その情報を用いて作業する能力のこと。 ワーキングメモリーには実行機能・短期記憶力・注意力が要求されます。 ワーキングメモリーは、暗算をしたり物語を聞いて理解したりするのに必要です。

実行機能

計画立案能力・判断力・思考力・問題解決能力・注意力・感情抑制力など。

オリエンテーション

自分が誰であるか・自分がどこにいるのか・今がいつ(季節や日時など)なのかに関する認識。

研究の方法

軽~中程度の認知症患者とその介護者89組を2つのグループに分けて10週間にわたり、一方のグループには標準的なケアを受けてもらい、もう一方のグループには良く知っている歌を聴いたり歌ったりしてもらいました。

今回の研究の目的は、音楽が有効な認知症患者のタイプ(年齢・認知症の程度・病因・ケアの状況・音楽歴など)を特定することでした。

結果

歌を歌うのは、特に認知症が軽度で比較的若い(80才未満)患者においてワーキングメモリー・実行機能・オリエンテーションの改善に効果がありました。 歌を聴くのは認知症が進行した患者にとってのみ有益でした。

抑鬱の軽減には、歌を聴くのも歌うのも効果がありました。 抑鬱軽減の効果が顕著だったのは、軽度のアルツハイマー型認知症の患者でした。

患者の音楽歴と音楽の効果との間に関係は見られませんでした(過去に楽器を演奏したり歌を歌ったりしたことがあるかどうかに関わらず音楽が認知症に有益だった)。