リスクを増やす要因
過度の飲酒
研究チームは、男女ともに1週間あたりの飲酒量を14ユニット以下とすることを推奨しています。 (参考記事: 適度な量と頻度でお酒を飲む高齢者は認知機能が高い)
1ユニットは「アルコール度数×量(ml)÷ 1,000」で計算します。 例えばアルコール度数5%のビール350mlの場合、1週間あたり8本mでということになります。
不健全な食事
ファーストフードや加工肉(ベーコン、ソーセージ、ハムなど)、高脂肪の食品を避けて、栄養バランスの取れた食事を心掛けましょう。
喫煙
喫煙習慣がある場合には直ちに禁煙します。 喫煙習慣が無い場合には、タバコを吸い始めないようにしましょう。(参考記事: 受動喫煙でも認知症になるリスクが増加)
肥満
肥満も認知症のリスク要因です。 ただし、65才超の場合には肥満により認知症のリスクが増加するというデータが明確ではありません。(参考記事: 「健康的な肥満」 でも認知症のリスク)
糖尿病
2型糖尿病の人は認知症になりやすいというデータがあります。 糖尿病にならないように体重や食生活に注意しましょう。 すでに糖尿病の場合には医師の指示に従って治療を行います。 (参考: 糖尿病と認知症)
高血圧
高血圧の人は薬で血圧を下げましょう。 適正な体重の維持も血圧の改善に有効です。(参考記事: 高血圧で脳が損傷を受け、糖尿病で思考・記憶力が損なわれる)
高コレステロール値
コレステロール値が高い場合にも認知症のリスクが増加しますが、65才超の人に関しては、コレステロール値と認知症リスクとの関係を裏付ける十分なデータが存在しません。(参考記事: コレステロールに問題がある人はアルツハイマー病になりやすい?)
研究者は次のように述べています:
「全身の血流を健全に保つのが認知症のリスクを下げるうえで大切であるというデータが増えています。 これはつまり、心臓の健康にとって良いことが脳の健康にとっても良いということです。 脳のニューロンが適切に機能するには脳に届けられる酸素と栄養が十分でなくてはなりませんが、心臓と血管が健康であると、脳が酸素と栄養を十分に受け取ることができます」
脳卒中
脳卒中により脳に生じるダメージで、認知症のリスクが増加します。 脳卒中にならないように体重や食生活に注意しましょう。 脳卒中の病歴がある人は医師の指示に従って治療を行います。(参考記事: 片脚立ちテストで無症候性の脳卒中や認知障害の有無を判定)
大気汚染
大気汚染は脳卒中のリスクを増加させますが、認知症のリスク増加にも関与している可能性があります。 ただし、今のところこれを裏付けるデータは十分ではありません。(参考記事: 先進国に見られる程度の大気汚染でも脳が萎縮し脳卒中のリスクも増加)
リスクを減らす要因
運動
運動などの身体活動により認知症になるリスクを減らせる可能性があります。
カフェイン
カフェインを適度に摂っていると認知症の予防に効果があるかもしれません。(参考記事: カフェインがアルツハイマー病の予防に効果)
社交活動
友人と交流したり社交活動に参加したりするのが認知症予防に有効ではないかと期待されています。(参考記事: 性格が違えば社交活動が認知機能に及ぼす有益性も違う)
知的作業
頭を使うことで脳を若々しく保つことで、日常生活を支障なく行う認知機能を維持できる可能性があります。 日常的に知的な作業を行うのは、認知症の予防にも効果があるかもしれません。(参考記事: 脳を若々しく保つには新しい物事を学習し続けるとよい)
認知症対策は何才から始めてもよい
研究者は次のように述べています:
「認知症の予防では中年の頃の健康状態が重要となりますが、年を取ってからでも健康状態を改善するのに遅すぎるということはありません。 また当然ながら、中年になる以前からでも健康状態に気を付けておいて損はありません 」