鬱の人はわざわざ悲しみが増えるような行動を取ってしまう

(2015年6月) "Psychological Science" 誌に掲載されたヘブライ大学(イスラエル)の研究によると、鬱の人はわざわざ悲しみが増えるような行動を取ってしまいます。

この結論は次の3つの試験に基づいています:

1つ目の試験
方法

1つ目の試験ではまず、61人の女性を鬱のグループ(以下「抑鬱グループ」)と鬱ではないグループ(以下「非鬱グループ」)に分けました。 鬱病チェックリストのスコアが非常に高かった女性と医師により大鬱病または気分変調であると診断されていた女性を抑鬱グループに分類しました。

そして両方のグループに、コンピューター画像を用いた作業を行ってもらいました。 この作業というのは、被験者女性がある画像を見た後にキーを押して、①同じ画像を再び見るか②何も表示されない真っ黒な画面を画像が表示されているのと同じ時間だけ眺めるかを選ぶというものです。

表示される画像は幸せそうな画像が10枚・悲しそうな画像が10枚・どちらでもない画像が10枚というもので、これらの中からランダムで表示されるようになっていました。

結果

幸せそうな画像に関しては両グループともに真っ黒な画面を眺めるよりも幸せそうな画像を再び表示するのを選択することが多かったのですが、悲しそうな画像に関しては抑鬱グループの方が非鬱グループよりも画像を再び表示する率が高くなっていました。

2つ目の試験

2つ目の試験では画像の代わりに音楽を用いました。 抑鬱グループは幸せそうな曲やムード的に中立的な曲よりも悲しげな曲を選ぶ傾向にありました。 非鬱グループでは悲しげな曲を選択したのが24%に過ぎなかったのに対して、抑鬱グループでは62%が悲しげな曲を選択しました。

研究者は次のように述べています:
「幸せそうな曲を聴いたときに悲しみが軽減され、悲しげな曲を聴いたときに悲しみが増加するというのは抑鬱グループでも同じでした。 それでも抑鬱グループは悲しげな曲を選んだのです」
3つ目の試験
両グループに認知再評価(cognitive reappraisal)と呼ばれる手法を用いて自分の感情を増減する方法を教えたところ、抑鬱グループは非鬱グループよりも高い確率で悲しげな画像に対する感情的な反応を増加させることを選択しました。