運動習慣により鬱病患者に見られる過眠症のバイオマーカーが減少

(2015年8月) "Translational Psychiatry" 誌に掲載された UT Southwestern Medical Center(米国)の研究により、鬱病(major depression disorder)の患者に見られる過眠症のバイオマーカー2種類が特定されました。 そして有酸素運動を続けることで、これらのバイオマーカーが減少しました。出典: New Biomarkers Show Exercise Helps Reduce Daytime Sleep Disorder
過眠症

過眠症とは夜に寝る時間が増え、さらに昼間もひどく眠いという状態のことです。 睡眠時間が長いうえに目覚めにくく、目が覚めたときに前後不覚の状態にあったりします。 過眠症では仕事中・食事中・会話中など普通では考えられないような状況で眠りに落ちてしまうことがあり、日常生活にも支障を来たしかねません。

過眠症の他の症状としては、不安感・イライラ・活力不足・落ち着きのなさ・思考や発話の鈍磨・食欲不振・幻覚・記憶力低下などが挙げられます。
研究の方法

18~70才の鬱病患者100人超を2つのグループに分けて異なる種類の有酸素運動を12週間にわたり行ってもらい、その前後に血液検査を行いました。 血液検査では、次の4種類のバイオマーカーの血中濃度を調べました:

  • 脳由来神経栄養因子(BDNF)
  • 腫瘍壊死因子α(TNFα)
  • インターロイキン-1β(IL-1β)
  • インターロイキン-6(IL-6)
結果

運動によりBDNFとIL-1βが減り、この2つのバイオマーカーが減った場合に過眠症が緩和されていました。(2つに分けたグループの結果の違いについては原文で言及されていません)

不眠症と過眠症

研究チームの以前の研究では、運動により鬱病患者の不眠症が緩和されるという結果になっています。 しかし不眠症に関しては、BDNFおよびIL-1βとの間に関係が見られませんでした(ただし、IL-1βの当初の血中濃度が低ければ不眠症が改善されやすかった)。

今回の結果と併せて考えると、鬱病患者において不眠症と過眠症ではメカニズムが異なる可能性があります。

研究チームはこれまでに睡眠・炎症・抑鬱の間に相互作用により各々が悪化し続けてゆくという不健全な関係が存在することを明らかにしていますが、今回の研究からも運動にこの不健全な関係をリセットする効果のあることが示唆されます。