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薬に頼らない鬱対策

鬱の薬は効果が無い?

抗鬱剤は、セロトニン(気分が良くなる快楽物質の一種)という神経伝達物質を脳が効率よく使用できるようにすることで気分を改善しますが、プラシーボと同程度の効果しかありません。 つまり、ほとんど効果が無いというわけです。

そのうえSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)系の抗鬱剤では、自殺のリスクが増加するという副作用まであります。 また近年では、鬱の原因がそもそもセロトニン不足ではないことを示唆する研究も複数発表されています。

薬に頼らない鬱対策

運動

100以上の研究によって、運動が自然の抗鬱剤として最高のものであることが示されています。 運動の抗鬱効果が薬や心理療法と同程度であるという結果になった研究もいくつかあります。

運動によって鬱症状が改善されるのは、運動により脳由来神経栄養因子(BDNF)という神経栄養因子やGABAなどの神経伝達物質が増加するためだと思われます。

抗鬱効果の高い運動は、筋力トレーニングとサイクリング・水泳・ジョギング・エアロビクスなどの激しい有酸素運動です。

推奨運動量は、一回あたり45~60分を週に3~5回です。 有酸素運動の場合は、心拍数が最大心拍数の50~85%となる程度の運動強度が推奨されます。

運動をすることによって、コルチゾールなどのストレスに反応して分泌されるホルモンが減少し、エンドルフィンという快楽物質が増加します。

鬱症状のある人の運動頻度が少ないという結果になった研究もあるので、鬱の人は意図的に運動をするようにすると良いかもしれません。

食事

ジャンクフードを避けて、糖類・飽和脂肪酸(肉や乳製品に多く含まれる)・コレステロール・塩分・食品添加物の摂取量を減らし、魚・果実・野菜・穀物・豆類・ナッツ類を積極的に食べるようにしましょう。

複数の臨床試験において糖分とカフェインを生活から排除することで鬱症状が改善されるという結果になっています。 糖分とカフェインを控えることでLトリプトファン(セロトニンの材料となるアミノ酸)からセロトニンへの転換が改善されるためだと考えられています。 抑鬱に悩まされている人は糖分とカフェインを控えてみると良いかもしれません。 Lトリプトファンは牛乳・鶏肉・大豆などに豊富に含まれています。

食品・栄養素

抗鬱効果があるとして知られている食品・栄養素には次のようなものがあります:
  • ベリー類
    ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリーなどのベリー類には、精神安定剤に含まれるバルプロ酸によく似た構造の物質が含まれています。 それ以外にもベリー類は、アントシアニンのようなフラボノイドなどの抗酸化物質を何種類も含んでいます。 チョコレートや紅茶にも同様にバルプロ酸に似た物質が含まれています。
  • 緑茶
    2009年に日本人の高齢者 1,060人を対象に行われた研究で、緑茶が鬱症状の緩和に有効であることが示唆されています。
  • チョコレート(ホワイト・チョコレートは不可)
    数多くの研究で、チョコレートに抑鬱を改善する効果のあることが示されています。 チョコレートは、セロトニン(気分改善効果のある脳内物質)の体内量を増加させるといわれています。 ただし食べすぎは良くないので、1日あたり30グラム程度までにしておきましょう。
  • ビタミンD

    ビタミンDの不足は鬱病の原因となりますが、ビタミンDは皮膚に日光(紫外線)が当たることによって体内で合成されます。 したがって日光が乏しくなる冬にはビタミンDが不足しがちになります。

    ですので、冬には食事でビタミンDを積極的に摂取するのが良いでしょう。 ビタミンDを多く含む食品には、鮭、ニシン、サバ、イワシ、チーズ。卵の黄身などがあります。 ビタミンDが強化された牛乳やサプリメントを利用しても良いでしょう。

    "Archives of General Psychiatry" に発表された研究によると、日光不足自体もセロトニン不足の原因になります。 つまり、日光の不足は、直接的にも、そしてビタミンDを介して間接的にも、鬱症状の原因となるわけですね。
  • 葉酸とビタミンB12

    複数の研究で、鬱病患者では葉酸とビタミンB12が不足していることが示されています

    葉酸とビタミンB12は、どちらかが不足するだけで疲労感や虚弱感の原因となります。 葉酸は、ほうれん草や豆類などの緑色野菜に多く含まれていますし、ビタミンB12は魚貝類・ヨーグルト・牛乳などに豊富に含まれています。 ただし、人体は一部の貝類に含まれているビタミンB12 を利用できないので要注意です。
  • マグネシウム

    マグネシウムのサプリメントも鬱症状の改善に有効であることが複数の研究で示されています。

    ただし、マグネシウム・サプリメントはサプリメントに含有されているマグネシウムの形態によって吸収効率が異なります。 吸収効率が悪いマグネシウム酸化物を使用した臨床試験では、マグネシウム・サプリメントで鬱症状が改善されないという結果になっています。 吸収効率の良い塩化マグネシウムなどを使用したサプリメントを選ぶと良いでしょう。

    鬱症状の軽減を目的にマグネシウム・サプリメントを服用する場合には、1日あたり250mgほど(成人の場合)を服用すると良いでしょう。 服用開始から2週間ほどで効果が現れ始めることが期待されます。 腎機能に問題がある場合や服用中の薬がある場合には、マグネシウム・サプリメントの服用を開始する前に医師に相談しましょう。

健康食品

  • 銀杏(サプリメント)

    加齢によって鬱症状が出るリスクが増加しますが、銀杏は高齢者の鬱に特に有効です。 加齢によるセロトニン受容体の減少を、銀杏が打ち消すためだと考えられています。

    最近の研究で、銀杏エキスによって、抗鬱薬があまり効かなかった高齢者の鬱症状が軽減されるという結果が出ています。 ただし、抗鬱薬と銀杏エキスの併用は医師に相談してからにしましょう。
  • 5-水酸化トリプトファン(5-HTP)

    数多くの研究により、5-HTPにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や三環系抗うつ剤(ノルエピネフリンとセロトニンの再摂取を妨げる抗鬱薬)と同等の効果のあることが示されています。

    日本で行われた研究に、うつ病の患者17人のうち14人、そして双極性うつ病(躁うつ病)の患者21人のうち12人で、5-HTPにより症状が有意に改善されるという結果になったものがあります。

    5-HTPは、トリプトファンがセロトニンに転換される途中の物質です。 トリプトファンよりもセロトニンに変換されるのに必要なステップが1つ少ないというわけです。

    5-HTPには、SSRIや三環系抗うつ剤に比べて、安価であるうえに副作用が軽微であるというメリットがあります。

  • クレアチン
    トリプトファンと同じアミノ酸の一種であるクレアチンにも抗鬱効果が期待できます。 抗鬱剤とクレアチンの併用によって抗鬱剤の効果が現れるまでの期間も半分に短縮され、鬱症状の改善幅が大幅に向上するという結果になった研究があります。 クレアチンは、肝臓や腎臓、すい臓で作られるアミノ酸で、肉や魚に含まれています。
  • クルクミン
    ターメリック(ウコン)の主成分であるクルクミン(1g/1日)に、抗鬱剤のプロザックに匹敵する抗鬱効果のあることが臨床試験で示されています。 クルクミンは、1日に12gまでは服用しても安全だと考えられます。
  • サフラン
    サフランにも坑鬱効果があり、しかも抗鬱剤よりも副作用が少ないという結果になったレビュー(複数の研究の結果を調査する研究)があります。 服用量は1日あたり15mg×2回が適当だとされています。
  • 紅景天
    紅景天というハーブの一種が鬱症状に有効であるという結果になった臨床試験があります。

その他

  • 幸せなときには笑顔になりますが、その逆もまた然りで、笑顔になることで幸せになります。 無理にでも笑顔を作ることでストレスが軽減されるという結果になった研究もあります。

  • 陽気な音楽を聞くことによって、気分を改善できます。 しかも、気分改善効果は2週間も持続します。 ただし、気分を良くしようとする意思が必要です。
  • 米国で行われた研究によると、昔好きだったテレビ番組の再放送を観ることで、元気が出ます。 慣れ親しんだ架空の世界に気力を回復する効果があるのだそうです。
  • 欝の原因が、特定の(トラウマとなるような)記憶を思い出せないことにある場合には、その特定の出来事を思い出すことによって、鬱症状を減少できるそうです。
  • 英国の研究によると鍼治療も鬱症状に有効です。 ただし、この研究では、抗鬱剤と鍼治療の併用で効果が出た人が多いため、鍼治療だけで効果があるかどうかは不明です。
  • 独居老人に限った話ですが、インターネットで他人と繋がることによって鬱のリスクが33%減少するという結果になった研究があります。
  • 鬱症状がある人は甲状腺の検診を受けてみると良いかもしれません。 鬱症状の原因が甲状腺機能の低下であるケースがあります。 セロトニンの前駆体であるLトリプトファンをセロトニンへと転換するときに甲状腺ホルモンが必要であるために、甲状腺ホルモンが不足していると鬱症状が生じるのです。