遺伝子変異によりインスリン分泌能力が損なわれている40%の2型糖尿病患者に効く薬

(2014年10月) "Science" 誌に掲載されたルンド大学(スェーデン)の研究によると、ストレス・ホルモンが原因でインスリン分泌能力が損なわれるという遺伝子変異体を持っている2型糖尿病患者は、ヨヒンビンという昔からある(したがって安全性などに関する情報が充実している)薬でインスリンを分泌する能力が回復するかもしれません。

ADRA2A

この遺伝子変異体(ADRA2A)がある人では、インスリンを生産する細胞(おそらく「β細胞」のこと)がストレスホルモンの影響に弱くなるために、ストレスホルモンによってインスリン分泌能力が損なわれてしまいます。

(スェーデンでは)人口の30%が ADRA2A を持っています。 2型糖尿病の患者ではこの比率はさらに高く、スェーデンの場合には40万人の2型糖尿病患者の40%に ADRA2A があります。

ヨヒンビンは動物実験とヒトのβ細胞を用いた実験において、ADRA2A による悪影響を遮断し、インスリン分泌能力を改善する効果が確認されています。

試験の内容

今回の試験には、2型糖尿病患者50人に参加してもらいました。 このうち件の遺伝子変異体を持っていたのは29人でした。

50人全員を対象にブドウ糖負荷試験(過剰なブドウ糖の負荷に対して、インスリンがどの程度良好に分泌されるかを調べる試験)を行ったところ予想通り、ADRA2Aのある29人の方がインスリン分泌能力(経口ブドウ糖負荷試験でブドウ糖服用から30分後)が25%劣っていました。

次に、50人ヨヒンビンを投与したうえでインスリンの分泌を測定する(register)という試験を3度(ヨヒンビン投与量が0mg、10mg、20mg)行ったところ、20mgの投与によってヨヒンビンの投与を受けた ADRA2A 保有者のインスリン分泌能力が29%増加していました。

ただし、大規模な試験で今回の結果を確認する必要がありますし、ヨヒンビンには血圧が上がるという副作用があるので、この点を改良する必要もあります。