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糖尿病によりアルツハイマー病のリスクが増加?

糖尿病がアルツハイマー病の原因に、あるいはその逆?

2013年7月に開催された "Alzheimer's Association International Congress" で発表されたジョージタウン大学の研究で、2型糖尿病によりアルツハイマー病になるリスクが増加する可能性が示唆されています。

この研究はそもそもレスベラトロールが軽・中度のアルツハイマー病患者の血糖値に及ぼす効果を調べるためのものだったのですが、研究開始のときに参加者の血糖値をチェックしたところ、軽・中度のアルツハイマー病患者に糖尿病前症が予想外に多く見られたのです。

128人の参加者(アルツハイマー病患者)のうち、4%にあたる5人に空腹時血糖異常があり2%にあたる3人が2型糖尿病に該当する状態でした。 さらに、食後2時間後の血糖値検査を受けた125人のうち、30%にあたる38人に耐糖能障害(*)が見られ、13%にあたる16人が糖尿病に該当する状態でした。 したがって、食後2時間後の検査では、耐糖能異常の人と糖尿病の人が全体の43%を占めていたわけです。

研究者は次のような疑問を投げかけています:
耐糖能障害(糖尿病前症)と糖尿病がアルツハイマー病の一因となるのでしょうか? それとも、アルツハイマー病による炎症が耐糖能障害(*)を引き起こすのでしょうか? あるいは、アルツハイマー病と耐糖能障害が悪循環を起こして、どちらも悪化していくのでしょうか?

(*) 「耐糖能障害」という言葉の「耐糖能」とは、血中のブドウ糖の量を調節して適切に保つ能力のことです。 したがって、耐糖能障害とは、血糖値を適切に保てなくなった状態ということになりますね。

耐糖能障害(glucose intolerance)と耐糖能異常(impaired glucose tolerance)という言葉は、区分がはっきりしていないようです。 日本の辞書では、"glucose intolerance" も "impaired glucose tolerance" も「耐糖能障害」となっています。

ややこしくなりますが、"impaired glucose tolerance" が糖尿病前症に相当するという説明があり、さらに耐糖能障害=境界性糖尿病(糖尿病前症)として扱っているものがあることから、"impaired glucose tolerance" を「耐糖能障害」と訳して差し支えはないようです。

その一方で、英国の糖尿病サイトによると、耐糖能障害(impaired glucose tolerance)は、空腹時血糖異常(impaired fasting glucose)、耐糖能異常(impaired glucose tolerance)、糖尿病前症、2型糖尿病を含む意味の広い言葉だとされています。

本文でも、"glucose intolerance" と "impaired glucose tolerance" が同じ意味で用いられているようですが、いちおう前者を「耐糖能障害」、後者を「耐糖能異常」と訳しています。
血糖値が高いだけでもアルツハイマー病のリスクが増加するかも

"Neurology" 誌(2013年5月)に掲載されたアリゾナ大学の新しい研究では、血糖値が高いだけでもアルツハイマー病のリスクが増加する可能性が示されています 。

こちらの研究は、47~68歳の男女124人を対象に行われました。 これらの人たちはいずれも、糖尿病ではなく、脳機能も正常ですが、アルツハイマー病の家族歴のある人たちでした。

アルツハイマー病になると脳の特定の部分の代謝が減少するのですすが、この人たちの脳をスキャンして脳の代謝活性を調べたところ、124人のうち血糖値の高い人でも、アルツハイマー病と同様の代謝低下パターンがアルツハイマー病と同じ脳の部位に見られました。