糖尿病の病歴が長いほど脳が萎縮していた

(2014年4月) 糖尿病によって血管が傷付くために脳卒中や認知症のリスクが増加することはこれまでにも知られていましたが、"Radiology" 誌に掲載されたペンシルバニア大学の研究によると、糖尿病患者では血管が傷付くだけでなく脳細胞が変性を起こして脳が萎縮する可能性もあります。

この研究で、平均年齢62才の2型糖尿病患者614人を対象に、MRI を用いて糖尿病の重症度および期間と、脳容量の減少および虚血性病変部の増加との関係を調べたところ、2型糖尿病の病歴が長いほど脳が萎縮していたのです。 糖尿病である期間は614人の平均で9.9年間でした。

この研究ではさらに、糖尿病が直接的には小血管性虚血性疾患(small vessel ischemic disease)に直接的には関与していない可能性も明らかになりました。 糖尿病である期間が長い患者ほど脳(特に灰白質)の容積が減っていましたが、糖尿病の性質(characteristics、重症度?)と小血管性虚血性疾患との間に関係は見られませんでした。
灰白質
灰白質には、筋肉のコントロールや、聴覚、視覚、記憶、感情、言語、意思決定、自己抑制などを司る脳の領域が含まれます。
研究者は次のように述べています:

「糖尿病である期間は主に、脳の萎縮と相関関係にありました。 糖尿病になって10年間が経過するたびに健康な人に比べて脳の灰白質が2年分老化(萎縮)するという計算になります」


糖尿病によって脳が萎縮する理由としては、次の2点が推測されています:

  • 低血糖
  • 糖尿病患者において慢性的に大量に存在するインスリンと糖が脳にとって有害となる
研究チームは今回の結果から、2型糖尿病患者では血管性認知症よりもアルツハイマー病などの神経変性疾患になるリスクが増加する可能性が出てきたと述べています。

糖尿病コントロールすることで脳の萎縮を防止する、鈍化させられるかどうかは、今回の研究からは不明です。