糖尿病患者は認知機能の劣化が早い

(2014年12月) "Annals of Internal Medicine" 誌に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、中年の頃に糖尿病であると、その後の20年間のうちに認知機能(記憶力や思考力など)が劣化するペースが早まると思われます。

この研究では、1987~1989年から 15,792人の米国人を3年おき程度のペースで追跡調査している "Atherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC)" という研究のデータを用いました。 ARIC 参加者の認知機能の評価は、1990~1992年、1996~1998年、および 2011~2013年に行われました。

データを分析したところ、糖尿病を放置していたグループは血糖値が正常なグループに比べて、追跡期間中における認知機能の衰え方が19%大きくなっていました。 糖尿病の治療をきちんと行っていたグループおよび糖尿病前症のグループでも、糖尿病を放置していたグループよりはマシでしたが、血糖値が正常なグループに比べると認知機能の衰え方が大きくなっていました。 白人か黒人かによる違いはありませんでした。

糖尿病(放置していた場合?)による認知能力への影響は加齢に換算すると5年分ほどに相当します。 これは例えば、60才の糖尿病患者の認知能力が、健康的に年を重ねている人が65才になったときの認知能力と同程度だということです。

記憶力や実行機能(計画立案能力や、判断力、思考力、問題解決能力、注意力、感情抑制力など)が衰えた人では認知症になるリスクが大きく増加しますが、このリスクを低減するには、糖尿病や高血圧の治療をきちんと行う、禁煙する、運動習慣を身に付ける、食事を改善するなどが有効だと考えられています。