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糖尿病患者も握力が強ければ死亡リスクが増加しない

(2017年10月) "Diabetes Care" 誌に掲載されたグラスゴー大学の研究で、糖尿病患者のなかでも握力が弱い人は死亡リスクが高いという結果になりました。 握力には全身の筋力が反映されます。

研究の方法

英国に住む男女35万人近く(平均年齢56才)の握力を調べたのち5年間前後にわたり心血管疾患(心臓病や脳卒中)の発症・心血管疾患による死亡・死因を問わない死亡の状況を追跡調査しました。 35万人近くのうち4%にあたる1万3千人超が糖尿病患者でした。

結果

追跡期間中に6千人超が死亡し、4千人超が心血管疾患になりました。 死亡した6千人超のうち心血管疾患で死亡したのは600人ほどでした。

糖尿病を抱えている人はそうでない人に比べて総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)も心血管疾患になるリスクも心血管疾患で死亡するリスクも高かったのですが、糖尿病患者を握力の強さに応じて2つのグループに分けて分析したところ、糖尿病患者のうち死亡リスクなどが統計学的に有意に増加していたのは握力が弱いグループだけでした。

握力が弱い糖尿病患者のグループは糖尿病でない人のグループに比べて、心血管疾患で死亡するリスクが4倍に増加していました。 総死亡リスクや心血管疾患を発症するリスクについても同様でした。

握力の強さの基準

今回の研究において何kg程度の握力を「強い握力」や「弱い握力」とみなしたのかは不明ですが、平均的な握力は人種により異なるので、日本人の平均的な握力を基準に自分の握力が強いのか弱いのかを判断するとよいでしょう。

日本人の平均的な握力は、文部科学省の2009年のデータによると、成人男性では45~50kgほど、成人女性では27~30kgほどです。

関連研究

  • "American Journal of Preventive Medicine"(2015年)に掲載されたフロリダ大学の研究では、20才以上の米国人 1,467人を調査して、糖尿病や高血圧の人は握力が低いという結果になっています。

    糖尿病ではないグループの握力(両手の握力の合計)が69.8kgなのに対して糖尿病のグループの握力は61.7kgでした。 また、高血圧ではないグループの握力が71.5kgであるのに対して高血圧のグループの握力は60.8kgでした。
  • "The Lancet" 誌(2015年)に掲載されたマックマスター大学の研究では、低~高所得の17ヶ国から選出した35~70才の男女 139,691人を4年間ほどにわたり追跡調査して、4年間における握力の低下幅が5kg大きくなるごとに死亡リスクが16%・心臓発作のリスクが7%・脳卒中のリスクが9%それぞれ増加するという結果になっています。
  • "Plos One"(2017年)に掲載されたマックス・プランク研究所(ドイツ)などの研究では、ロシア・英国・デンマークに住む55~89才の男女1万5千人ほどのデータを分析して、いずれの国でも握力が強いほどに死亡リスクが低下するという結果になっています。 低下幅は-2%-10%で、いずれの国でも女性のほうが握力の強さと死亡リスクの低さの関係が顕著でした。
  • "Acta Medica Indonesiana"(2017年)に掲載された研究で、虚弱の恐れがある60才以上の男女120人を2つのグループに分けて一方のグループにのみ虚弱改善の効果を期待してメトホルミン(500mgを1日3回)を16週間にわたり服用させたところ、メトホルミンの服用により歩行速度は改善されたものの握力は強くなりませんでした
  • "Journal of Musculoskeletal & Neuronal Interaction"(2017年)に掲載された研究では、健常者358人を調査して、インスリン感受性が低い人は身体活動量が少なく握力が低いという結果になっています。
  • "Plos One"(2017年)に掲載されたウィーン医科大学の研究では、高齢者80人を被験者とする試験を行って、食生活の改善全身的な筋力トレーニングにより握力が2.4kg強くなるという結果になっています。