「最新健康ニュース」のコンテンツを閲覧以外で利用する方は「引用・転載・ネタ探しをするときのルール」をご覧ください。

糖尿病患者は黄色ブドウ球菌による血液感染症にかかりやすい

(2016年3月) "European Journal of Endocrinology" に掲載されたデンマークの研究によると、糖尿病患者では黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)による血液感染症のリスクが3倍ほどに増加します。 したがって糖尿病患者は感染症に注意が必要です。
黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚に自然に存在する細菌で、通常は人体に悪影響を及ぼしません。 しかし時おり感染症を引き起こすことがあり、その感染症が血流中にまで及ぶと命に関わります。

黄色ブドウ球菌が血液中に入り込むというのは実際のところ深刻な状況で、30日以内に死亡する率が20~30%にもなります。

黄色ブドウ球菌感染症の発生件数は過去20年間で増加しています。 増加の理由は部分的にしかわかっていません。
研究の方法

デンマーク在住の男女3万人のデータを分析しました。 分析においては、糖尿病の種類・病歴の長さ・合併症の有無などを考慮しました。

結果

糖尿病ではない人たちのグループに比べたときの黄色ブドウ球菌感染症のリスクが、1型糖尿病患者のグループでは7.2倍、2型糖尿病患者のグループでは2.7倍でした。

合併症によるリスク増加

循環器の合併症や糖尿病性潰瘍が生じている場合にはさらにリスクが増加していました。 また、腎臓に合併症が生じている糖尿病患者では、黄色ブドウ球菌感染症のリスクが4.2倍に増加していました。

病歴の長さなどの影響

糖尿病の病歴が10年以上という患者では黄色ブドウ球菌感染症のリスクが3.8倍に増加していました。 糖尿病をコントロールできていない患者は、糖尿病をコントロールできている患者よりも黄色ブドウ球菌感染症のリスクが高くなっていました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「糖尿病により黄色ブドウ球菌感染症のリスクが増加することは経験的に知られていましたが、きちんとしたデータはほとんどありませんでした」

「糖尿病をきちんとコントロールできていない患者では免疫力が落ちます。 糖尿病患者で感染症のリスクが増加するのもそのためかもしれません。 糖尿病の合併症も感染症リスク増加の一因だと思われます」
この研究の弱点
この研究では、免疫力(したがって感染症のリスク)に大きな影響を及ぼす喫煙習慣とBMIという要因を考慮できていません。 また、デンマークには薬剤耐性を持つ黄色ブドウ球菌(MRSA)が滅多に見られないので、MRSAが蔓延している地域では今回と異なる結果になる可能性があります。