オメガ3脂肪酸で糖尿病性神経障害が治る?

(2015年5月) "Journal of Neurophysiology" オンライン版に掲載された VA Medical Center(米国)の研究によると、魚油の成分であるオメガ3脂肪酸が糖尿病性神経障害に有効だと思われます。 魚油のサプリメントによって糖尿病のマウスの神経損傷が回復したのです。 出典: Fish Oil May Help with Diabetic Neuropathy

糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害は糖尿病患者の50%ほどに生じます。 治療法は存在せず、血糖値のコントロールによって進行を遅くすることができるのみです。

オメガ3脂肪酸と糖尿病
オメガ3脂肪酸は過去の複数の研究で、肥満者や糖尿病患者における血糖値・肝機能・炎症軽減に効果を発揮することが示されています。 オメガ3脂肪酸のこのような効果は、体内でオメガ3脂肪酸から作られるレゾルビンなどの分子によるものです。

今回の研究チームが以前に行った研究で、オメガ3脂肪酸を豊富に含むエサを与えられた1型/2型糖尿病のマウスで糖尿病性神経障害が改善されるという結果になっています。 今回の研究では、そのメカニズムを調べました。

研究の方法
この研究では、次の3つのグループのマウスを比較しました:
  1. 高脂肪のエサを与えられたうえで、レゾルビン(レゾルビンD1)を毎日注射された2型糖尿病のマウスのグループ。
  2. 高脂肪のエサを与えられた2型糖尿病のマウスのグループ。 ただしエサに含まれる脂肪分の半分が魚油だった。
  3. 糖尿病ではない健康な(*)マウスのグループ。

    (*) ソース記事の通りに訳しましたが、「結果」を見ると糖尿病の(そして糖尿病性神経障害が生じている)マウスに普通のエサを与えただけのグループではないかなと思います。 プレスリリースの元となった論文のアブストラクトにも、"Untreated diabetic mice(何もされない糖尿病のマウスのグループ)" という言葉が出てきます。

    あるいはグループが全部で4つで、「何もされない糖尿病のグループ」と「何もされない健康なグループ」の両方が存在したのでしょうか。
結果

何もされない糖尿病のマウスのグループでは、(糖尿病性神経障害のために)足の皮下に存在する神経が減り、神経を通る信号の伝達速度が遅くなっており、それに対応して足の触覚も鈍くなっていました。 このグループは眼の神経も減っていました。

1および2のグループでは血糖値は正常範囲内にまで低下していませんでしたが、神経の密度と感覚信号伝達が改善されていました。 さらに、レゾルビンによって神経細胞の成長が促進されることも観察されました。

研究グループは今後、糖尿病が長らく放置されていたケースにも魚油が神経回復に有効であるか否かなどを動物実験で確認したうえで、糖尿病患者を対象とする臨床試験を行う予定です。