透析患者は有酸素運動が心身に有益

(2014年10月) "Clinical Journal of the American Society of Nephrology(CJASN)" に掲載予定のバイーア連邦大学(ブラジル)などの研究で、血液透析(人工透析)をしている腎不全患者が有酸素運動をすることで健康関連の生活の質が向上し、鬱症状が減り、寿命が延びるという結果になりました。

この研究では、5,763人の透析患者を有酸素運動・筋力トレーニング・柔軟運動の習慣に応じて5つのグループに分け、1.6年間(中央値)の追跡調査を行いました。 その主な結果は次の通りです:

  • 有酸素運動をよく行うグループの方が健康関連の生活の質(QOL)が高く、鬱症状や早死にのリスクが低い傾向にあった。 有酸素運動の量が最も多いグループでは、有酸素運動量が少ない2つのグループ(「まったくしない」と「滅多にしない」)に比べて、追跡期間中に早死にするリスクが40%低下していた。 筋力トレーニングや柔軟運動には、これらの効果は見られなかった。

  • 年齢、性別、透析時間(time on dialysis)、糖尿病の有無によってさらに細かくグループ分けして比較してもやはり、有酸素運動の量と QOLの向上および鬱症状・早死にリスクの低下とのあいだに同様の相関関係が見られた。

  • 透析患者のうち心不全のある人たちに限ると、有酸素運動の量と寿命とのあいだに関係は見られなかった。 しかし、QOLの向上および鬱症状リスクの低下については、有酸素運動の量とのあいだに相関関係が見られた。

  • 運動プログラムを提供している医療機関で透析を受ける患者のほうが、有酸素運動をよく行う傾向にあった。
同じ号の CJASN に掲載予定の2つの研究で、腎機能と鬱症状などとの関係についての調査がなされています。 1つは、鬱症状のある透析患者は入院する羽目になるリスクが増加するというもので、もう1つは、75才の米国人の中でも腎機能障害がある人には認知障害、鬱症状、疲労感、転倒、歩行障害(impaired mobility)などが多く見られ、それゆえに早死に・入院・救急部の利用が増えるというものです。