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ディーゼル車の排気ガスで善玉コレステロールが悪玉に

カリフォルニア大学ロサンゼルス校などが行ったマウス実験によると、ディーゼル車の排気ガスを吸い込むと善玉(HDL)コレステロールが変質して機能しなくなるだけでなく、悪玉コレステロールと手を組んで体内の酸化や、炎症、動脈硬化を促進します。

自動車の排気ガスに含まれる粒子は都会の大気汚染の主因となりますが、これらの粒子はフリーラジカル(酸化の原因となる)への感応性が高い化学物質でコーティングされています。

今回の研究で、マウスをディーゼル車の排気ガスに2週間にわたって暴露させたところ、血中および肝臓に酸化ダメージが見られました。 この酸化ダメージは、ダメージが生じたのちにマウスを空気が清浄な環境で一週間飼育しても治りませんでした。 そして、この酸化ダメージが生じるプロセスにおいて、HDL コレステロールが関与している可能性があります。

「大気汚染によって、HDL が機能障害を起こして酸化能を有する(prp-oxidative)ようになり、酸化経路が活性化されるのですが、これが、大気汚染により動脈の閉塞が悪化して心臓疾患や脳卒中の原因となるメカニズムの1つである可能性があります」


マウスの排気ガスへの暴露時間は、週に5日間程度、1日あたり数時間でした。 用いられた排気ガスはフィルターを一切通していないディーゼル車の排気ガスで、鉱山労働者が暴露される程度の微粒子濃度でした。

マウスを排気ガスに暴露させてから、血液と体組織のサンプルで HDL の抗酸化・抗炎症能力を検査したところ、HDL の有益な性質の多くが著しく変質していました。 排気ガスに暴露させたマウスのグループでは、LDL(悪玉)コレステロールによって誘発される酸化および炎症を防ぐというHDLの作用が、排気ガスに暴露させなかったグループと比べて大きく減少していたのです。

HDL の悪玉化
LDL に対抗する作用が HDL から失われると、他の要因もあいまって酸化プロセスに歯止めがかからなくなる可能性がありますが、問題はそれだけではありません。 ディーゼル車の排気ガスに暴露されたマウスでは、HDL が酸化ストレスを増大させ、LDL と手を組んで酸化ダメージを促進していました。

排気ガスに暴露されたマウスでは、酸化生成物の血中量が2~3倍になっており、さらに肝臓で酸化経路が活性化していましたが、これらの酸化マーカー(酸化生成物の血中量と肝臓での酸化経路活性化)と、HDLの機能障害の度合いとのあいだには相関関係が見られました。

研究者は、「大気汚染によるダメージは回復に時間がかかるので、排気ガスにあまりさらされないように」と警告しています。