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食生活を変えると2週間で結腸ガンのリスクに変化が生じる

(2015年4月) "Nature Communications" 誌に掲載されたピッツバーグ大学などの研究で、米国に住む黒人とアフリカに住む黒人とで食生活を入れ替えるという試験を行ったところ、わずか2週間で結腸ガンのリスクが変化するという結果になりました。

米国に住む黒人が食べる西洋型の食事はタンパク質を多く含みますが食物繊維があまり含まれていません。 一方、アフリカに住む黒人の食事には食物繊維が多く含まれている一方で脂肪分とタンパク質があまり含まれていません。

結腸ガンは世界全体で死因の第4位を占める病気で年間60万人が結腸ガンにより死亡していますが、死亡者数の割合はアフリカや東アジアよりも欧米に偏っており、米国の中では黒人に偏っています。
遺伝子的に同じ民族である黒人同士で比較することで、環境的な要因である食事が結腸ガンのリスクにもたらす影響のみを抽出しようとしたのでしょうか。
研究の方法

この研究では、米国に住むアフリカ系の黒人20人のグループ(米国グループ)と、南アフリカに住む黒人20人のグループ(アフリカ・グループ)に2週間にわたって食事の内容を交換してもらいました。

試験期間である2週間の前後に大腸内視鏡検査を行ったほか、結腸ガンのリスクを示す生物学的な指標を測定したり、結腸から採取した腸内細菌のサンプルを分析したりしました。

結果

試験期間の始めに行った内視鏡検査では、米国グループの約半数に大腸のポリープが見られました。 ポリープは一応は無害だと思われますが、ガンへと変化する恐れもあります。 一方、アフリカ・グループにはポリープが発生している人がいませんでした。

食生活を入れ換えてから2週間後、アフリカ型の食事をしていた米国グループでは結腸の炎症が減少し、ガンのリスクを示す各種指標が改善していました。 一方、欧米型の食事をしていたアフリカ・グループではガンのリスクを示す指標が劇的に悪化していました。

両グループの結腸ガンのリスクに変化が生じていた理由は腸内細菌叢にあると思われます。 腸に住む細菌群が普段と異なる食事に対応するために代謝を変えていたのです。 米国グループでは、アフリカ型の食事に切り替えたことによって酪酸塩(*)が増加していました。
(*) 食事に含まれる食物繊維を腸内細菌が分解することによって作り出されます。 酪酸塩には抗ガン効果があります。
研究者のコメント
研究者は次のように述べています:
「今回の結果から、食物繊維の摂取量を増やすことで結腸ガンのリスクを相当に減らせる可能性が示唆されます。 食物繊維が結腸ガン予防になるということ自体は目新しくはありませんが、食事内容を変更してからわずか2週間でガンのリスクに違いが生じるという点は驚嘆に値します」