食生活によって海馬のサイズに差が出る

(2015年9月) "BMC Medicine" に掲載されたディーキン大学(オーストラリア)などの研究で、海馬(記憶・学習・精神衛生に深く関与する脳の領域)のサイズが食生活に影響されるという結果になりました。

不健康なジャンクフードを食べることが多い人は海馬が小さい一方で、普段から健康的な食事をしている人は海馬が大きかったのです。

食生活が海馬のサイズと機能に影響することはこれまでにも複数の動物実験で示されてきましたが、ヒトを対象に行われた研究は今回のものが初めてです。

研究の方法

この研究では60~64才の男女255人を対象に食生活などに関するアンケートを実施したうえで、MRIで脳の画像を撮影しました。 MRIによる撮影は4年後にも再び行いました。

結果

糖類の入った飲み物・塩分の多いスナック類・加工肉などのように不健康な食品を食べることが多いグループでは左の海馬(脳には右と左2つの海馬があります)のサイズが(おそらく初回のMRI撮影と2回目との比較で)52.6mm小さくなっていました。

逆に、食生活が健康的(野菜・果物・魚を頻繁に食べる)なグループでは左の海馬のサイズが45.7mm大きくなっていました。

これらの結果は、性別・運動量・喫煙習慣・教育水準・抑鬱など海馬のサイズに関係する要因を考慮したうえでのものです。

コメント
研究者は次のように述べています:
「近年の研究により食事や栄養が認知症や抑鬱・不安感のリスクに関与していることが明らかにされていますが、その関与の仕方は明確にはわかっていませんでした」
今回の結果から、食事や栄養が少なくとも部分的には、海馬に影響することによって認知症や精神障害のリスクに影響している可能性があると考えられます。
「今回の研究は60~64才の男女を対象に行われましたが、海馬は年齢を問わず学習・記憶・精神衛生にとって重要な器官であるので、若い人であっても健康的な食生活は大切です」