糖分や脂肪の摂り過ぎが腸内細菌を介して認知能力に悪影響?

(2015年6月) "Neuroscience" 誌に掲載されたオレゴン州立大学の研究(マウス実験)によると、脂肪と糖分を多量に含む食事によって腸内細菌に変化が生じ、それによって認知柔軟性が失われるようです。

脂肪分や単純炭水化物を多量に含む食品は、肥満率の増加やアルツハイマー病のリスク増加などに関与していると思われます。

また、食事に含まれる脂肪分と糖類が認知機能と行動に影響すること、そしてその影響の一部が腸内細菌層の変化に起因している可能性があることも複数の研究でも示されています。

認知柔軟性とは

認知柔軟性(cognitive flexibility)とは状況の変化に適応する能力のことで、この能力が優れている人は状況の変化に即座に適応して、例えば家に帰ろうとして普段使用している最適なルートが使えなくなっているときにも次善のルートを速やかに決定できます。 そして翌朝にもその次善のルートを覚えていてスムーズに出勤に用いることができます。

認知柔軟性が損なわれている人は、普段使用している最適なルートが使えなくなったときに次善のルートを決定するのに非常に手間取ります。

研究の方法
この研究では、マウスを複数のグループに分けてグループごとに内容が異なる(脂肪分が多かったり糖分が多かったりする)エサを与えたのち、水の迷路を通らせるなど様々なテストを行って食事内容がマウスの心身の機能と腸内細菌に及ぼす影響を調べました。
マウスはヒトの老化・空間記憶力・肥満などの研究に用いるのに特に適しています。
結果

脂肪分が多いエサを与えられたグループや糖分が多いエサを与えられたグループでは、エサの与え始めから4週間で心身の両面においてテストの成績が普通のエサを与えられていたグループよりも悪くなり始めました。

不健全なエサによる悪化が最も顕著だったのが認知柔軟性でした。 認知柔軟性の悪化は糖分を多く含むエサを食べたグループで最も深刻でした。

コメント
研究者は次のように述べています:

「ヒトにおいても腸内細菌が脳に影響を及ぼしていることが近年の研究で明らかになりつつあります。 腸内細菌は神経伝達物質として作用する化合物を放出して感覚神経や免疫系を刺激し、様々な生物学的機能に影響を与えます」

「今回の研究には若いマウスを用いましたが、それでも(脂肪や糖分を多く含むエサによる)認知柔軟性の障害は相当なものでした。 若いマウスは一般的に腸内細菌がもたらす悪影響に(年を取ったマウスよりも)耐性があるので、年を取ったマウスやヒトの高齢者では今回示された以上にひどいことになる可能性があります」