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食物繊維が食欲を抑える仕組み

(2014年5月) "Nature Communications" に掲載された英国などの研究により、食物繊維で食欲が抑制されるメカニズムが解明されたようです。 食物繊維を消化したときに生じる酢酸塩という分子が満腹感を伝える信号を脳に送っていたのです。
食物繊維と酢酸塩
野菜や果物などを食べると、そこに含まれる食物繊維が腸内細菌によって分解(醗酵)されて、大量の酢酸塩が生じます。 ただし、食物繊維の中には発酵するものとしないものが存在するので、酢酸塩を目当てに食物繊維を食べるのであれば、発酵性食物繊維を食べなくてはなりません。
研究の概要
この研究では、イヌリンという食物繊維の一種を用いて以下のマウス実験を行いました:
  • マウスを2つのグループに分けて、一方のグループには高脂肪食+イヌリンを、もう一方には高脂肪食のみを与えたところ、高脂肪食+イヌリンのグループのほうが食事量も体重増加量も少なかった。
  • イヌリンをマウスに与えたところ、腸内で酢酸塩が大量に発生していることが確認できた。
  • PET スキャンを用いて、酢酸塩が結腸から肝臓と心臓そしてついには脳の視床下部にまで到達していることを確認した。 視床下部は空腹感を司っています。
  • スペインの研究機関(CSIC)の協力により、High Resolution Magic Angle Spinning という最新技術を用いて視床下部における酢酸塩の作用を調査した結果、視床下部に蓄積した酢酸塩が一連の化学的イベントを引き起こし、それによってプロオピオメラノコルチン神経細胞が発火していた。 この神経細胞には食欲を抑制する作用があります。
  • 酢酸塩をマウスの血流、結腸または脳に直接注射したところ、マウスがエサを食べる量が減った。
研究者は次のように述べています:

「石器時代の人類は1日あたり100gの食物繊維を摂取していました。 一方、現代ヨーロッパ人の平均的な食物繊維摂取量は15g/日でしかありません。 人類の消化器官は石器時代から変わっていないというのに。 現代人に肥満が多いのは、この食事の変化と、その変化に対応できていない人体とのミスマッチが原因でしょう。

今回の研究では、食物繊維による食欲抑制において酢酸塩の放出が鍵を握っていることが明らかになりました。 この発見は、食べ過ぎの問題を解決する糸口になるでしょう」
ただし、別の研究者によると、酢酸塩は体内では短時間で活性が失われてしまうということなので、酢酸塩を飲んでも脳には届かないようです。