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食物繊維から作り出されるプロピオン酸塩が食欲抑制に有効かも

(2014年12月) "Gut" 誌に掲載された研究によると、体内で食物繊維から作り出されるプロピオン酸塩という物質が食欲を抑えるのに有効かもしれません。
プロピオン酸塩

腸内細菌が食物繊維をエサとして発酵を行うことによって短鎖脂肪酸(SCFA)が作られることが、過去の複数の動物実験により示されていますが、プロピオン酸塩もその短鎖脂肪酸の一種です。

短鎖脂肪酸は「PYY」および「GLP-1」という2種類の消化管ホルモンの放出を促進します。 これらの消化管ホルモンには食欲を抑制する作用があります。 プロピオン酸塩は、PYY と GLP-1 の放出を促進する作用が短鎖脂肪酸の中で最も強いと思われます。

今回の研究では、プロピオン酸塩の食欲抑制効果を調べるために、研究チームが開発したプロピオン酸塩のサプリメントを用いた2つの試験を行いました。

1つ目の試験

20人を2つのグループに分けて、一方のグループにはプロピオン酸塩のサプリメントを、もう一方にはイヌリンという醗酵性食物繊維の一種を服用してもらった後に、ビュッフェ形式で食べたいだけ食べてもらいました。

その結果、プロピオン酸塩サプリメントのグループは、イヌリンをグループに比べて食事量が14%少なく、その一方で PYY と GLP-1 の血中量は多くなっていました。

イヌリンとプロピオン酸

Gut Flora Foundation という組織の文書(英文PDFファイル)によると、イヌリンは腸内細菌に分解されて酢酸、プロピオン酸、および酢酸塩という3種類の短鎖脂肪酸を主に生じます。

プロピオン酸塩のサプリメントの名称が "inulin-propionate ester(IPE)" となっているソースがあることから、プロピオン酸塩のサプリメントはイヌリンから作られたのだと思われます。

動物実験では、イヌリンそのものにも食欲を抑制する効果(酢酸塩による効果)が認められています。 (参考記事: 食物繊維が食欲を抑える仕組み
2つ目の試験

40~65才の過体重の人たち60人(このうち11人は途中で脱落)を2つのグループに分けて、一方のグループにはプロピオン酸塩のサプリメント(10g/日)を、そしてもう一方のグループにはイヌリン(10g/日)を24週間にわたって服用してもらいました。 食事と運動の習慣は従来のものを継続してもらいました。

試験期間の前後で両グループの体重を測定して比較したところ、体重が試験開始後に3%増えたのがプロピオン酸塩サプリメントを服用したグループ(25人)では1人だけだったのに対して、イヌリンを服用したグループ(24人)では6人でした。

さらに、プロピオン酸塩サプリメントを飲んだグループでは、脂肪の総量が減っていただけでなく、体全体の脂肪に占める腹部脂肪の割合も小さくなっていました。

この2つ目の試験では血液検査も行いました。 血液サンプルに含まれる心血管疾患や糖尿病のリスク要因となる血中脂肪・肝酵素・炎症マーカーなどを測定した結果、心血管疾患と糖尿病のリスク要因についてはプロピオン酸塩とイヌリンいずれのグループにおいても試験期間中に減少していましたが、LDL(悪玉)コレステロールとアスパラギン酸トランスアミナーゼ(心臓や肝臓などの組織損傷の兆候)についてはプロピオン酸塩のグループでのみ有意に減少していました。
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