ガン予防において頼りになりそうな食生活ガイドラインは?

(2018年7月) "Cancer Research" 誌に掲載されたパリ第13大学(フランス)の研究で、4種類の食生活ガイドラインとガンになるリスクとの関係が調査されています。
Céline Lavalette et al. "Cancer-Specific and General Nutritional Scores and Cancer Risk: Results from the Prospective NutriNet-Santé Cohort"

研究の方法

40才以上の男女 41,543人の食生活を調べたうえで 2009~2017年にかけてガンの発症状況を追跡調査しました。

そして、各人の食生活が4つの食生活ガイドラインのそれぞれにどれだけ近いかをスコア化し、それらのスコアとガンになるリスクとの関係を分析しました(*)
(*) ①種類は問わない ②乳ガン ③前立腺ガン ④大腸ガンの4つで分析。

4つの食生活ガイドライン

4つの食生活ガイドラインは次の通りです:
  1. WCRF(世界ガン研究基金)とAICR(米国ガン研究所)が推奨するガン予防のための食生活(下記参照)
  2. Alternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010
  3. メディテラネアン・ダイエット
  4. フランスの食生活ガイドライン(PNNG-GS)

結果

追跡期間中に新規に診断されたガンの症例数は 1,489件でした。

4つの食生活ガイドラインのうち最も優秀だったのは「WCRFとAICRが推奨するガン予防のための食生活」で、このガイドラインのスコアが1点増える(*)ごとに、ガン(種類は問わない)になるリスクが12%低下していました。

ガンの種類別では、この数字は乳ガンで14%および前立腺ガンで12%でした。 ただし、前立腺ガンは統計学的な有意性が微妙でした(95% CI, 0%–22%)。 大腸ガンでも14%のリスク低下でしたが統計学的な有意性が欠如していました(95% CI, 0.72–1.03; P = 0.09)。
(*) スコアが高いほど食生活がWCRF/AICRガイドラインに近い。 スコアの範囲は0~4点。

PNNG-GSのスコアが高い場合には大腸ガンのリスクが、AHEI-2010のスコアが高い場合にはガン(種類は問わない)のリスクが下がっていました(リスクの低下幅は不明)。

WCRF/AICRの食生活ガイドライン

"Adherence to the WCRF/AICR Dietary Recommendations for Cancer Prevention..."("Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention" 誌)によると、WCRF/AICRの食生活ガイドラインの内容は次の4点です:
  1. 食事のエネルギー密度や糖類を含有する飲料を制限する: エネルギー密度は食品100gあたり125kcalが望ましく、100gあたり175kcalを超えると良くない。 糖類含有飲料は全く飲まないのが望ましく、250g/日を超えると良くない。
  2. 植物性食品を中心とする食生活を心がける: 野菜/果物の摂取量が400g/日以上および食物繊維の摂取量が25g/日以上であるのが望ましく、野菜/果物の摂取量が200g/日および食物繊維の摂取量が12.5g/日未満であるのは良くない。
  3. 赤身肉をあまり食べないようにし、加工肉(ソーセージやハムなど)はほぼ食べないようにする: 赤身肉の摂取量が500g/週および加工肉の摂取量が3g/日であるのが望ましく、赤身肉の摂取量が500g/週以上および加工肉の摂取量が50g/日であるのは良くない。
  4. 飲酒量を制限する: 1日あたりのアルコール摂取量が男性は20g以下および女性は10g以下であるのが望ましく、アルコール摂取量が30g/日(男性)や20g/日(女性)を超えると良くない。 ビール350mlに含まれるアルコールは約15g。
今回の研究グループによると、WCRF/AICR食生活ガイドラインは他の3つのガイドラインに比べて飲酒量の制限が厳しいのが特徴です。