(2017年4月) "Nutrition Journal" に掲載されたウメオ大学(スウェーデン)の研究で、食生活が炎症を促進するタイプのものであると男性に限り心筋梗塞になるリスクが高いという結果になりました。
炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。
しかし、炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症が持続する慢性的な炎症は体にとって有害です。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓疾患・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。
慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食事内容も慢性炎症に大きく影響します。
食生活の炎症度とは、普段の食事に含まれ炎症に影響する各種成分がトータルで炎症を促進するか、それとも抑制するかということです。 サウス・カロライナ大学の研究では、食生活の炎症度を判定するのに食事炎症指数(DII)という尺度が用いられます。
これまでの類似研究で、食生活の炎症度が高い人は大腸ガン・乳ガン・膀胱ガン・胃ガン・喉咽頭ガン・腎臓ガン・早死に・骨折・抑鬱・精神的苦悩のリスクが高いことが示されています。
食生活などを調べたのち健康状態などを追跡調査した研究から、初めて心筋梗塞になった男女 1,389人と心筋梗塞にならなかった男女 5,555人のデータを選出してDIIを比較しました。
追跡開始から心筋梗塞と診断されるまでの期間は、中央値で6.4年でした。 データの分析においては、心筋梗塞のリスクに影響する様々な要因を考慮しました。
DIIと心筋梗塞のリスクとの間に関係が見られませんでした。
DIIスコアに応じてデータを4つのグループに分けた中でDIIスコアが最高の(食生活の炎症度が最も高い)グループは、DIIスコアが最低のグループに比べて心筋梗塞になるリスクが50%高くなっていました。