紙の本で読むときとデジタル機器で読むときとで内容の理解度が異なる

(2016年5月) "ACM CHI 2016" にて発表予定であるダートマス大学の研究によると、PCやタブレットなどのデジタル機器に表示される内容を読むときには、紙に書かれた内容を読むときに比べて、本の全体的(抽象的)な内容よりも具体的な細かい情報に意識が向くようになります。出典: Digital Media May Be Changing How You Think

研究の方法

20~24才の男女を被験者とする4つの試験を行いました。 4つの試験の被験者数は合計300人超で、各試験の被験者数は60~100人超でした。 試験に使われた文書は、デジタル版と実紙版で文字のサイズも書式も同じとなるようにしました。

結果
デジタル版か実紙版かによって、内容の理解度と問題解決成功率が異なっていました。 主な結果は次のようなものです:
  • David Sedaris という作家の短編を実紙版またはデジタル版(PDF)で読んでもらったのち、理解度に関するテストを行ったところ、抽象的な質問に関しては実紙版を読んだグループの方がスコアが高かった(正答率48%に対して66%)が、具体的な質問に関してはデジタル版を読んだグループの方がスコアが高かった(58%に対して73%)。
    実紙版の正答率の合計は66%+58%=124%。 デジタル版の正答率は48%+73%=121%。
  • 4種類の架空の日本車の仕様が記載された表をラップトップPCの画面上または画面をプリントアウトした実紙で読んでもらって4種類の車のうち性能が最も優れているものを選択させたときの正答率が、プリントアウトした実紙で表を読んだグループでは66%だったのに対して、ラップトップPCで表を読んだグループでは43%だった。
    実紙版の正答率66%、デジタル版43%。 各車の複数の性能項目(例えば、馬力・燃費・価格・静音性などでしょうか)からトータルの性能を割り出すうえで総合的(抽象的)な判断力が要求されるということなのでしょう。
  • 上記と同じ表を用いた試験で、表を提示する前に抽象的な思考を行う心構え(mindset)にしておくと、デジタル版で表を読んだときにも抽象的思考が要求される作業をする能力が向上するように見受けられた(30% → 48%)。