炎症を抑えるタイプの食生活を送っている人は乳ガンになりにくい

(2018年5月) "European Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたメタ分析で、炎症を抑えるタイプの食生活を送っている人は乳ガンになりにくいという結果になりました。
Lu Wang et al. "Meta-analysis of the association between the dietary inflammatory index (DII) and breast cancer risk"

炎症について

炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。

しかし、炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症が持続する慢性的な炎症は体にとって有害です。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓病・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。

慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食事内容も慢性炎症に大きく影響します。

食生活の炎症度と健康

食生活の炎症度とは、普段の食事に含まれ炎症に影響する各種成分がトータルで炎症を促進するか、それとも抑制するかということです。 サウス・カロライナ大学の研究では、食生活の炎症度を判定するのに食事炎症指数(DII)という尺度が用いられます。

これまでの研究では、DIIスコアが高い(炎症を促進するタイプの食生活を送っている)人は大腸ガン・乳ガン・膀胱ガン・胃ガン・喉咽頭ガン・腎臓ガン・前立腺ガン・動脈硬化・心血管疾患(心臓病や脳卒中)・心血管疾患による死亡・虚弱・肥満・骨折・抑鬱・精神的苦悩・歯牙喪失のリスクや総死亡リスクが高いことが示されています。

メタ分析の方法

DIIスコアと乳ガンのリスクとの関係を調べた7つの観察研究(2017年12月12日までに発表されたもの)のデータを分析しました。

データに含まれる人数は合計32万人弱となりました。 7つの研究のうち3つがケース・コントロールで、4つが前向きコホートでした。

結果

DIIスコアが最高のグループは最低のグループの比べて乳ガンのリスクが25%高いという結果でした。 ただし、メタ分析に用いられた研究の異質性(研究手法や調査の対象となる層などの違い)が非常に大きかった(I2 = 82.7%, p = 0.000)点に注意が必要です。

閉経状態に応じてデータを分けて分析すると、閉経後の女性でのみDIIスコアが高い場合に乳ガンのリスクが増加(+15%)していました。

研究のタイプ別に分けて分析すると、ケース・コントロール研究(前向きコホート研究よりも信頼度が低いとされる)でのみDIIスコアが高い場合に乳ガンのリスクが増加(+68%)していました。

研究が行われた地域別に分析すると、DIIスコアが高い場合にアジアで行われた研究では130%のリスク増加、欧州で行われた研究では26%のリスク増加となりました。