コンテンツの利用をお考えの方は引用・転載をするときのルールをご確認ください。

炎症を促進する食生活で腎臓ガンのリスクが増加

(2017年3月) "European Journal of Nutrition" に掲載されたサウス・カロライナ大学などの研究によると、炎症を促進するタイプの食生活によって腎臓ガンになるリスクが増加する可能性があります。

炎症について

炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。

しかし、炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症がだらだらと継続する慢性的な炎症は体にとってマイナスとなります。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓疾患・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。

慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食事内容も慢性炎症に大きく影響します。

研究の方法

55~69才の米国人女性3万4千人近くの食生活を調べたのち、15年間ほどにわたり腎臓ガンの発生状況を追跡調査しました。

食生活の炎症度の把握には食事炎症指数(DII)と呼ばれる尺度を用いました。 DIIのスコアに応じてデータ全体を3つのグループに分け、グループ間で腎臓ガンのリスクを比較しました。

データの分析においては、年齢・BMI・カロリー摂取量・喫煙習慣・教育水準・高血圧の有無などを考慮しました。

結果

追跡期間中に263人が腎臓ガンになりました。

食生活の炎症度が最も高いグループは最も低いグループに比べて、腎臓ガンになるリスクが52%高くなっていました。食生活の炎症度が10%増すごとに腎臓がんのリスクが7%増えるという計算になります。

類似研究

これまでの類似研究では、食生活の炎症度と早死に・大腸ガン・乳ガン・膀胱ガン・胃ガン・骨折などのリスクとの関係が調査されていて、食生活の炎症度が高い人はこれらのリスクが高いという結果になっています。

また、トマトに含まれるカロテノイドとして有名なリコピンには抗炎症作用がありますが、"Cancer" 誌(2015年)に掲載された研究で、リコピンの摂取量が多い女性は腎臓ガンになることが40%近く少ないという結果になっています。

炎症対策

慢性炎症を低減するには、野菜・果物・ナッツ類・魚を積極的に食べると良いでしょう。 ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜やブラック・ベリーには、特に強力な抗炎症効果が期待できます。 ターメリックやシナモンなどの香辛料にも抗炎症作用があります。 炭水化物を食べる量が多いと逆に、炎症が生じやすくなります。

食生活以外では、座って過ごす時間が長い人は慢性炎症が生じていることが多いという研究や、適度な激しさの運動(早いペースでのウォーキングなど)に炎症を緩和する効果があるとする研究があります。