魚介類に含まれる毒物が現行基準値の1/100でも腎臓にダメージ

(2014年2月) ドウモイ酸という海産物に含まれる毒性物質があり、この物質は脳の神経にダメージを与えるために外国では規制されていますが、"Journal of the American Society of Nephrology" に掲載された米国の研究(マウス実験)によると、このドウモイ酸が現在の規制値の1/100の量でも腎臓に悪影響を与えます。

研究グループは、ドウモイ酸が腎臓を経由して体外に排出されることに注目しました。 マウスに様々な量のドウモイ酸を投与してドウモイ酸の腎臓への影響を評価した結果、脳よりも腎臓のほうがドウモイ酸に対して遥かに敏感であることがわかったのです。

研究者は次のように述べています:
「ドウモイ酸は、(脳への)神経毒性を発揮するより100倍低い濃度でも、腎臓へのダメージがありました。 この結果から、海産物を食べる人では腎不全の原因にもなりかねない腎障害のリスクが増加する可能性が考えられます」

今回の研究結果は、ヒトを対象とした研究によって確認する必要がありますが、研究グループはドウモイ酸に対する警戒と監視を強める必要があると考えています。

ドウモイ酸(ドモイ酸)について

「ドウモイ酸」という言葉の語源は日本語です。 ドウモイ酸が鹿児島県の徳之島で「ドウモイ」(学名: Chondria armata)と呼ばれ(30mg程度の用量で)駆虫薬として用いられる海藻(ハナヤナギ)から分離されたために、このように名付けられました。

ドウモイ酸が検出される食品

ドウモイ酸は、ムラサキガイや、ハマグリ、ホタテガイなどの二枚貝、イワシやアンチョビなどの魚類、カニ類などから検出されます。

ドウモイ酸はハナヤナギ以外に珪藻によっても作り出されます。 このようなドウモイ酸を含有する藻類を貝類や魚類などの動物がエサとして食べること(生物濃縮)によって、ドウモイ酸はこれら動物の体内に蓄積されてゆきます。

ドウモイ酸の毒性

ドウモイ酸は加熱しても毒性が失われません。 ヒトなどの哺乳類においては神経毒として作用し、海馬の損傷による短期記憶の障害や脳の障害(記憶喪失性貝毒)、場合によっては死亡の原因となります。

ドウモイ酸による貝中毒の症状は、嘔吐、吐き気、下痢、腹部けいれんなどで、毒が体内に入ってから24時間以内に起こります。 重症の場合には、48時間以内に頭痛や、めまい、混乱、見当識障害(時間、場所、自分が何者かなどについての混乱)、短期記憶の喪失、脱力、痙攣発作、大量の気道分泌物(泡をふく?)、不整脈、昏睡などの神経性症状が表れます。 ドウモイ酸の解毒剤は存在しません。

規制値
カナダや米国ではドウモイ酸の規制値が 20 ppm と定められていますが、この数値はドウモイ酸の神経毒性に基づいて設定されたものであり腎臓への毒性は考慮されていません。 日本では規制値が定められていません。