ヤマネは年を取るとテロメアの長さが回復する

(2016年11月) 加齢により短くなるために老化の指標とされるテロメアですが、"Scientific Reports" に掲載されたウィーン獣医大学の研究により、ヤマネの一種である食用ヤマネ(学名:Glis glis)は年をとってから逆にテロメアが長くなることが明らかになりました。

研究の方法

オーストリアの「ウィーンの森」にはヤマネ観察用に130の巣箱が設置されています。 研究チームは3年間にわたり、この巣箱からヤマネの頬粘膜を採集してテロメアの長さを調べました。

結果
ヤマネが若いうちはテロメアが短くなっていましたが、6才以上になると食料が十分である場合に限り(*)テロメアが長くなっていました。 しかも、年を取るほどに長くなるペースが速まっていました。 季節・性別・体重・生殖行動などのテロメアへの影響は見られませんでした。
(*) マウス実験で摂取カロリーを40%減らすとテロメアの長さが回復したという研究があるのと対照的です。(生活習慣の改善によりテロメアの長さを回復して老化を停止
解説

ヤマネの寿命は最大で13年ほどですが、これは小型のゲッ歯類としては例外的な長寿で、研究者はヤマネの寿命の長さにテロメアの「若返り」が関与していると考えています。

ヤマネが年を取るにつれて生殖を行う率が増加していたことから、テロメアの延長が生殖行動に関わっている可能性が考えられます。 妊娠や授乳により増加する酸化ストレス(*)に対抗するためにテロメアが長くなっているのかもしれないというわけです。
(*) テロメアが短くなる一因。
研究者によると、年を取るほどにテロメアが長くなるという現象が報告されたのは今回がたぶん初めてです。