飲酒でIQが下がるのではなく、その逆?

(2015年2月) "Alcoholism: Clinical & Experimental Research" 誌オンライン版に掲載された Karolinska Institutet(スェーデン)の研究で、若い男性においてIQの低さと大量飲酒とのあいだに明確な相関関係が見られるという結果になりました。

IQの低さと大量飲酒のどちらが原因でどちらが結果なのか断定はできませんが、研究チームによるとIQの低さの方が原因で大量飲酒の方が結果だと思われます。

過去の類似研究の中には、今回と同様の結果になったものや反対の結果(飲酒習慣に問題のある人の方がIQが高い)になったものが存在します。

研究の方法

1949~1951年に生まれ、1969~1971年にスイス軍に徴集されたスェーデン人男性 49,321人のデータ(つまり20才前後の頃のデータ)を分析しました。 IQ検査の結果・飲酒習慣・喫煙習慣・医療歴・子供時代の状態などのデータは、徴集時に収集されたものを用いました。

結果

子供の頃の社会・経済的状態(収入、職業、学歴など)や、精神病の症状、気質の安定性、父親の飲酒習慣などの要因を考慮したうえでデータを分析したところ、IQ検査のスコアが低い男性は飲酒量が多く、大量飲酒をすることも多いという結果になりました。

解説

IQが高い人の方が健康的な生活習慣を選択するということかもしれませんが、IQが低い人は社会・経済的状態や気質の安定性に問題がある傾向が見られるので、それらの要因が大量飲酒に関わっている可能性もあります。

研究者によると、IQの低い人に見られる要求不満や不満足感が大量飲酒に関与している可能性があります。 複数の研究で、IQの低い子供や若者はのちに自殺をする率が高いという結果になっているためです。

今回の結果は国や文化によって異なると思われます。 研究者は次のように述べています:
「IQと飲酒習慣の関係の大部分は間接的なものであって、日常生活における体験や社会的状況の違いにより仲介されているのだと思います。 つまり、飲酒するのとしないのとどちらが賢明であるのかを知能で判断しているとは限らず、社会的な環境に左右されている可能性が考えられます」
また、今回の結果を女性にまで敷衍して適用することはできないかもしれません。 女性と男性とでは飲酒量も飲酒パターンも異なる可能性が高いためです。