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少量の飲酒で虚血性脳卒中のリスクが下がるが、大量の飲酒で出血性脳卒中のリスクが上がる

(2014年5月) "International Journal of Cardiology" オンライン版に掲載された中国のメタ分析によると、お酒を毎日少し飲むことで脳卒中のリスクが減少しますが、飲む量が多いと逆にリスクが増加すると思われます。

このメタ分析で27の研究(米国11、欧州9、日本4、中国3。 データ人数合計140万人)のデータを分析したところ、お酒を毎日1.5~2杯(アルコール20~30g)飲んでいるグループでは、虚血性脳卒中、致命的な脳卒中、および各種脳卒中の合計の件数が減少していた一方で、毎日3杯(アルコール40~45g)を超えて飲んでいるグループでは出血性脳卒中のリスクが増加していたのです。

研究の方法

このメタ分析では、アルコールの摂取量に応じてデータを次の3つのグループに分類しました:

  • 15g/日未満 ― 少ない
  • 15~30g/日 ― 普通
  • 30g/日超 ― 多い
結果

お酒を全く飲まないグループに比べて、飲酒量が「少ない」グループでは脳卒中のリスクが次のように減少していました:

  • 各種脳卒中合計のリスク ― 15%の減少(RR(相対リスク) 0.85, 95% CI 0.75-0.95
  • 虚血性脳卒中のリスク ― 19%の減少(RR 0.81, 95% CI 0.74-0.90)
  • 脳卒中により死亡するリスク ― 33%の減少(RR 0.67, 95% CI 0.53-0.85)

飲酒量が「普通」のグループでは、上記のようなリスクの減少も出血性脳卒中のリスク増加も見られなかったのですが、「多い」のグループではリスクの減少が見られなかったうえに各種脳卒中合計のリスクが増加していました(RR 1.20, 95% CI 1.01-1.43)。

さらに、飲酒量が「多い」グループのうち、1日あたりの飲酒量が45gを超えるサブグループでは各種脳卒中合計・出血性脳卒中・致命的な脳卒中(脳卒中により死亡する)の各リスクすべてが増加しており、1日あたりの飲酒量が55gを超えるサブグループでは虚血性脳卒中のリスクが増加していました。

高血圧の人を除外したり、や出版バイアス(否定的な結果が出た研究は、肯定的な結果が出た研究に比べて公表されにくいという偏りのこと)を考慮しても、これらの結果に変更はありませんでした。

弱点

ただし、研究チームによると、今回のメタ分析には、メタ分析の対象となった大部分の研究において飲酒のパターンと飲酒期間に関する情報が欠落していたとか、飲酒量が自己申告によるなどの弱点があります。

説明

少量の飲酒習慣によって虚血性脳卒中が減っているのに考えられる理由として研究チームは、少量のアルコールによる ①HDL(善玉)コレステロールの増加、②血小板凝集(血が固まりやすい)の減少、③線維素溶解(小さな血塊が除去される)の増加、および④血漿フィブリノゲン(血液凝固因子の一つ)の減少を挙げています。

一方、大量の飲酒によって出血性脳卒中のリスクが増加する原因としては、大量飲酒による①高血圧、②血小板凝集の減少、および③線維素溶解の増加を挙げています。
②と③に関しては、虚血性脳卒中と出血性脳卒中で裏表の関係にあるということでしょうか。 少量のアルコールであれば血の巡りを良くして虚血性脳卒中(血管が血栓で詰まって脳に血液が供給されなくなるのが原因)のリスクを下げてくれるけれど、大量のアルコールでは血の巡りが良くなりすぎて出血性脳卒中(脳内の血管の破裂が原因となって起こる)のリスクが増加してしまう。
これまでにも飲酒と脳卒中の関係について調べた研究が複数行われていますが、それらの結果はまちまちです。 少量~中程度の飲酒で心血管疾患と虚血性脳卒中のリスクが下がるという結果になったものもあれば、1日に数杯程度の飲酒でも高血圧と心房細動(不整脈の一種)という脳卒中の大きなリスク要因が増加する可能性が示唆されたものもあります。