胎児の頃あるいは授乳期に鉛にさらされた子供で肥満のリスク?

(2016年3月) "Toxicological Sciences" 誌に掲載されたミシガン大学の研究(マウス実験)によると、妊娠中の母親の体または授乳期に母乳を介して鉛が体に入った子供は腸内細菌叢に変化が生じて成人後に太りやすくなる恐れがあります。出典: Lead Exposure Changes Gut Microbiota, Increases Chance for Obesity

鉛について

鉛は米国疾病管理予防センター(CDC)が定める基準値に満たない量であっても健康に様々な悪影響を及ぼします。 鉛による健康への悪影響は主に消化と呼吸に生じます。

鉛は、鉱山業や建設業などの仕事で接触する以外では、タバコや葉巻の煙に含まれています。 また、鉛の使用が規制される前の古い塗料が剥がれ落ちたものがホコリに混じっていたり、水道管に鉛が使われている古い家では水道水に含まれていることもあります。

研究の概要
飲み水に鉛を混入された(*)マウスから生まれ母乳で育てられたオスのマウスでは腸内細菌の構成に変化が生じ、離乳後に他のマウスと同じエサを与えられたにも関わらず成人後に、鉛にさらされなかったマウスに比べて体重が11%重くなっていました。
(*) 鉛の血中濃度がヒトから検出されうるのと同程度となる量を混入した。 最も少ない場合で5μg/dL付近(CDCによる現行の基準値)、最も多い場合で 1960~1970年代のヒトに見られた鉛血中濃度。
メスの場合

胎児~授乳中にかけて鉛に暴露したメスのマウスでも腸内細菌の構成には変化が生じていましたが、体重は鉛に暴露していないマウスと変わりありませんでした。 この点について研究者は、「もっと長期間にわたって観察すれば体重への影響も見られるかもしれない」としています。

腸内細菌の多様性は変わらず

鉛に暴露したマウス(オスもメスも)でも、腸内細菌の種類が少ないという訳ではありませんでした。 異なっていたのは腸内細菌のバランス(どの種類の細菌が多いか)でした。 例えば、好気性細菌(酸素がある環境を好む)が少なく嫌気性細菌(酸素が無い環境を好む)が多いという具合でした。

結論
研究者は次のように述べています:
「発達の初期において鉛に暴露されると、後々にまで腸内細菌叢に影響が残ります。 成人後における体重の増加に、この腸内細菌叢の変化が部分的に関与している可能性があります」