エボラ出血熱が先進国で流行する心配はない?

(2014年7月) ここ数ヶ月、西アフリカで流行しているエボラ出血熱に関連するニュースが毎日いくつも報じられています(当サイトで記事にはしていませんが)。

昨日から今日にかけても、EU がエボラ対策を講じているとか、香港がエボラ対策を講じているとか、もう少しのところで米国行きの飛行機にエボラ感染者が搭乗するところだったとか、アフリカのエボラ対策の責任者がエボラで亡くなったとか、エボラの猛威を示すエボラ関連ニュースが多数出ています。

今回のエボラ流行は史上最大のもので、世界保健機構(WHO)によると、今年の3月から今までにギニア、リベリア、シェラレオネでエボラに感染した人の数は 1,201人、死者数は 672人超です。 『国境なき医師団』は、「エボラの流行はいよいよ悪化するばかりで、この危機に対処する戦略が不在だ」と警告しています。
エボラ出血熱
エボラ出血熱はエボラ・ウイルスを病原体とする感染症です。 (現在のところ)空気感染はしないため、感染者の体液(血液や汗、唾液、吐瀉物、排泄物など)に接触しない限り感染しません。

エボラに感染したときの初期症状は、発熱・頭痛・筋肉痛・喉の痛みなどであり、マラリアや腸チフス、コレラなどと見分けが付きません。 「エボラ出血熱」という名称の由来である出血が起こるのは、エボラの症状が相当に進んでからになります。鼻や耳などから出血するだけでなく、体内でも出血が起こります。

エボラの死亡率は90%にも達しますが、今回のエボラ流行における死亡率は70%程度です。 エボラの治療法は未だ存在せず(ワクチンが開発中ですが人での試験がまだ行われていません)、脱水症状に対処するくらいのことしか出来ません。
エボラ・ウイルスが空気感染する(あるいは既にしている?)かもという説もあり、いよいよエボラが世界中で流行するのかと思ったりもしますが、1976年にエボラ出血熱の発見に寄与したベルギー人研究者によると、その可能性は少ないそうです。

エボラ・ウイルスに感染した人が欧州や、米国、アフリカの他の地域まで飛行機で移動しても、大して流行はしないだろうというのが、この研究者の推測です。 その根拠は「エボラは感染者に密接に接触しなければ感染しない」というもので、彼は「感染者に嘔吐物を吐き掛けられでもしない限り、電車で隣の席にエボラ感染者が座ってても平気だ」とまで言っています。
バスで他の乗客にエボラが感染
2014年3月にギニアからリベリアへと感染が拡大したのは、ギニアの市場に買い物に行ったリベリア北部の村に住む女性だと考えられています。 女性の姉(妹?)が看護をしたのですが、今度はこの姉がエボラに感染してしまいました。

妹と同じようにエボラで死んでしまうのだと考えた姉は、死ぬ前に夫に会いたいと考えました。 夫はリベリアを横断したところにあるゴム工場で働いていました。

そこで彼女は、リベリアの首都であるモンロビアまで乗合タクシー(小型のバス)に乗りました。 このとき、他の乗客5人にエボラが感染し、5人とも後に死亡しています。 リベリアからゴム工場までは若い男性のバイクの後部座席に乗せてもらいました。 この男性の行方はわかっていません。
この研究者の経験では、アフリカにおけるエボラの流行は、注射針の使いまわしや、エボラで亡くなった人の遺体(嘔吐物や排泄物、血液で汚れている)を素手で洗うのが原因で生じていました。

現在、西アフリカでエボラが流行している理由として、この研究者は、内戦による政府の不在や、貧困、医療サービスの不備、医療従事者の備品(感染防止用の手袋など)の不足などを挙げています。

つまり、先進国でエボラ感染者が発生することがあっても、西アフリカほどに流行する恐れは無いということでしょうか?