人類の90%が感染しているウイルスが乳ガンの形成を促進する恐れ

(2016年8月) "EBioMedicine" 誌に掲載されたハーバード大学の研究によると、一部の女性はエプスタイン‐バー・ウイルス(EBV)により乳ガン発症のリスクが増加する恐れがあります。出典: One of the Most Common Viruses in Humans May Promote Breast Cancer Development

エプスタイン‐バー・ウイルス

EBVは、ヒトに感染することが知られている8種類あるヘルペス・ウイルスの一種です。 EBVは非常に一般的なウイルスで、人類の90%超がこのウイルスを保有しています。 EBVは伝染性単核球症の原因として知られますが、大部分の人はEBVに感染しても症状が生じません。

その一方でEBVは、ホジキン病・バーキットリンパ腫・上咽頭ガン・胃腺ガン・平滑筋肉腫など様々なガンに関与すると考えられています。 これまでに複数の研究で乳ガンの発症と進行への関与も報告されていますが、そのメカニズムは不明でした。

研究の概要

乳腺上皮細胞をEBVが存在する環境で培養したところ、EBVが乳腺上皮細胞に存在するCD21受容体と結合して細胞に感染しました。 そして、EBVに感染した乳腺上皮細胞は幹細胞としての性質を帯び、細胞分裂を何度でも繰り返せるようになりました。

この乳腺上皮細胞をマウスに移植したところ、ガンを引き起こすある種のタンパク質がEBV感染に作用して乳ガンの形成を促進しました。

EBVに感染した乳腺上皮細胞の遺伝子を分析たところ、エストロゲン受容体陰性の高度な乳ガンに見られる遺伝子的な性質が見られました。

今回の結果から、EBVが乳ガンの発生に関与している可能性は強いと思われます。

コメント
研究者は次のように述べています:

「女性が10代以降にEBVを発症(develop)すると、乳房の上皮細胞がEBVに感染する恐れがあると考えられます。 大部分のケースでは乳房がEBVに感染しても何の影響も無いでしょうが、一部のケースでは感染が遺伝子に傷痕を残して乳房の上皮細胞の代謝に異常を引き起こす可能性があります。 EBVが引き起こす異常は微妙なものに過ぎませんが、何十年かの後には乳ガンが形成されやすくなるかもしれません」

「子供にEBVの予防接種を行うことで、EBVによる乳ガンのリスクの増加を防げる可能性があります」