HDLコレステロール値が高くても死亡リスクが増加

(2016年8月) 善玉として知られ心臓病や脳卒中の予防に有益であるとされるHDLコレステロールですが、"Clinical Journal of the American Society of Nephrology" に掲載されたワシントン大学セントルイスの研究で、HDLコレステロール値が低い場合だけでなく高い場合にも死亡リスクが高くなるという結果になりました。

研究の方法
米国人男性180万人近くのHDLコレステロール値と腎機能を調べたのち、9年間ほどにわたり追跡調査しました。
腎臓に疾患がある場合にはHDLコレステロール値が低くなりがちで、腎臓疾患患者の死亡リスクが増加する理由の1つであると考えられています。
結果

研究チームにとっても意外なことに、HDLコレステロール値が低い場合だけでなく高い場合にも死亡リスクが高くなっていました。 HDLコレステロール値と死亡リスクとの関係を表すグラフがU字型を描いたのです。

HDLコレステロール値が中程度の場合

HDLコレステロール値が25mg/dL以下のグループに比べて、HDLコレステロール値が中程度(25mg/dL超~50mg/dL未満まで)の各グループでは腎機能の程度に関わらず死亡リスクが低くなっていました。

HDLコレステロール値が高い場合
HDLコレステロール値が50mg/dL以上のグループでは死亡リスクが、HDLコレステロール値が25mg/dL以下のグループに再び接近し、特に腎機能の指標であるeGFRの値が30未満(*)の場合または90以上(†)の場合には、HDLコレステロール値が25mg/dL以下のグループと同程度となりました。

(*) 腎機能が相当に低下している。 腎機能を6段階に分けた中で下から2番目 。

(†) 腎機能が正常。腎機能を6段階に分けた中で一番上。
解説
これまでに行われた複数の臨床試験でも、HDLコレステロール値を上げても効果が見られないという結果になっています。 HDLコレステロール値を中程度に保つことで死亡リスクが下がるかどうかについては、今後の研究で確認する必要があります。