「最新健康ニュース」のコンテンツを閲覧以外で利用する方は「引用・転載・ネタ探しをするときのルール」をご覧ください。

乳化剤が原因で腸内細菌に異変が生じて炎症とIBDとメタボの引き金に

(2015年2月) "Nature" 誌に掲載されたジョージア州立大学などの研究によると、保存料として加工食品に添加される乳化剤が腸内細菌の構成などに影響して腸の炎症を引き起こす可能性があります。

腸の炎症は炎症性腸疾患(IBD)やメタボリック・シンドロームを促進しますが、IBDやメタボリック・シンドロームの患者で腸内細菌叢に異常が生じることが知られています。
炎症性腸疾患(IBD)
潰瘍性大腸炎やクローン病などが含まれます。
研究の方法

乳化剤によって腸内細菌の細菌転移(腸管内に存在する細菌が腸管以外に感染すること)が促進されることが過去の研究で示されている上に、IBDやメタボリック・シンドロームが増加し始めた時期と乳化剤が食品添加物として用いられた時期が時代的に重なると思われることから、研究チームは乳化剤が腸内細菌に作用してIBDやメタボリック・シンドロームを促進しているのではないかと仮説を立てました。

そこで今回の研究では、非常に一般的に用いられている2種類の乳化剤(ポリソルベート80とカルボキシメチルセルロース)をマウスに与えるという実験を行いました。 投与量は、一般的な人が加工食品から各種の乳化剤を摂取している量と同程度となるように意図しました。

結果

乳化剤を与えられたマウスでは、腸内細菌の構成に変化が生じた結果、腸内細菌叢の炎症誘発性が強まっていました。

乳化剤により変質した腸内細菌叢は、腸の内側の厚い粘液層を消化・侵食する能力が増大していました。 通常は、腸の粘液層には細菌がほとんど存在しません。

さらに、腸内細菌層を構成する細菌の種類に変化が生じたために、腸内細菌により作り出されるフラジェリンとリポ多糖類の量が増加していました。 フラジェリンやリポ多糖類には、免疫系による炎症誘発性遺伝子の発現を活性化させる作用があります。
フラジェリンやリポ多糖類が免疫系を刺激して炎症を促進するということでしょう。
波及的な影響

乳化剤の投与による腸内細菌と免疫系の変化によって、遺伝子的に慢性大腸炎を起こしやすいマウスは慢性大腸炎になりました。 さらに、免疫系が正常なマウスでも乳化剤の投与によって、軽度の腸の炎症とメタボリック・シンドローム(食事量の増加、肥満、高血糖、インスリン抵抗性)が誘発されました。

研究者は次のように述べています:
「過去の研究で腸内細菌の異変に起因する軽度炎症が過食の原因であることが示唆されていますが、今回の結果によりその説が補強されました」
無菌マウスを用いた実験

腸内に細菌が存在しない無菌マウスでは、乳化剤の投与による影響は見られませんでした。 無菌マウスに、乳化剤の投与によって腸内細菌叢が変質したマウスの腸内細菌を移植したところ、軽度の炎症とメタボリック・シンドロームが生じました。

この結果から、乳化剤と体への悪影響との間には腸内細菌が介在していると考えられます。